2020年2月5日現在、情報通信業界で大きな注目を集めているのが、OKI(沖電気工業)による新たな戦略です。同社は2019年秋、データをクラウドへ送らずに末端で処理する「エッジコンピューティング」専用のコンピューターを発売しました。これは、ネットワークへの負担を減らし、リアルタイムな処理を可能にする画期的な動きです。SNS上でも「クラウド依存からの脱却は必須の流れ」「OKIが地味ながら着実に次の一手を打っている」といった声が上がっており、業界内での期待値は非常に高まっています。
鎌上信也社長は、今後の成長のカギを握るのは「ローカル5G」であると断言しています。ローカル5Gとは、特定の建物や敷地内など、限定されたエリアで構築されるプライベートな5Gネットワークのことです。広域なキャリアの5Gとは異なり、工場や施設内での安定した高速通信が期待できるため、スマートファクトリーやスマートシティーといった社会インフラの根幹を支える技術として大きな商機が眠っています。
AIエッジで実現する社会課題の解決
OKIが注力しているのは、AIを活用して情報を処理する「AIエッジ」の分野です。これまでは、あらゆるデータを一度クラウドに集めてから解析していましたが、膨大なデータを送受信することでネットワークの遅延や負荷が問題となっていました。OKIの提案するAIエッジは、自動車の自動運転や高度な防災システムのように、1秒を争う現場で即座に状況を判断・処理できるため、まさにこれからの社会に不可欠な技術といえるでしょう。
特筆すべきは、OKIが持つ「センシング技術」の強さです。ただデータを集めるだけでなく、独自の音響技術や光ファイバーセンサーを活用し、ノイズを除去した高品質な情報をAIに供給できる点は、他社に対する圧倒的な優位性です。例えば、光ファイバーを用いて不審者の侵入を検知したり、温度変化を緻密に観察したりすることが可能となります。ハードウェア単体を売るのではなく、それを用いた課題解決型のシステムを構築する姿勢には、真の社会インフラ企業としての強い意志を感じます。
成熟市場を超えて、150周年に向かう新たなステップ
2020年3月期は、現在の経営計画の総仕上げとなる年です。かつての主力であったATMやプリンターといった自動化機器市場は、キャッシュレス化やペーパーレス化の影響で成熟期を迎えています。しかし、私はOKIの原点である「自動化技術」の重要性は決して失われていないと考えます。リアルな空間で人間と機械が共生する場面において、OKIの技術は今後さらに進化していくはずです。
次期計画に向けて鎌上社長が視線を変えたのは、2030年という少し先の世界です。SDGs(持続可能な開発目標)が目指す未来、そして2031年に創立150周年を迎えるOKIが描く姿は、単なる機器メーカーの枠を超えた社会インフラの担い手です。IT大手がひしめく中で、自社独自のセンシングとネットワーク技術を磨き、顧客に直接新しい価値を提案し続ける。この挑戦こそが、OKIが未来を切り拓く唯一の道であり、我々にとっても期待すべき大きな物語になるでしょう。
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