自動車業界に新たな風が吹き荒れようとしています。リース大手、東京センチュリーの傘下にあるオリコオートリースが、2020年2月に個人向け自動車リース債権を「流動化」して約120億円もの資金を調達するというニュースが飛び込んできました。これまで、個人向けの自動車リース債権においてこのような試みは国内で初めてのことです。業界関係者の間では、非常に画期的な戦略として驚きの声が上がっています。
ここで少し専門的な話を補足しますね。「債権の流動化」とは、企業が保有する将来の支払いを受ける権利(債権)を、信託銀行や証券会社を通じて別の証券へと変え、機関投資家に販売する仕組みのことです。これにより、企業は早期に現金を得ることができ、貸借対照表をスリム化できるというメリットがあります。SNS上でも「リース債権が証券化される時代か」「投資先の新たな選択肢が増えた」と、金融関係者を中心に大きな反響を呼んでいるようです。
なぜ今、自動車リース債権なのか
今回の動きには、明確な理由が存在します。オリコオートリースでは、地方を中心に軽自動車のリース契約が急速に拡大しており、2019年9月30日時点での保有台数は約13万7千台に達しました。これは前年同期比で2割を超える驚異的な伸びです。事業が拡大すれば、その分だけ負債を抱え込む必要があり、貸借対照表の重みが経営の課題となっていました。
この問題を解決しつつ、低金利環境下で運用先に苦慮している銀行などの機関投資家に対して、新発10年物国債利回りを上回る魅力的な利回り商品を提供しようという、いわば双方にとって利のある戦略と言えるでしょう。私個人としては、この戦略の巧みさに感服しています。単なる資金調達の枠を超え、市場のニーズと企業の成長を高度にマッチングさせる優れた手法だからです。
今後、この手法が成功すれば、他のリース会社も追随し、個人向けリース債権の流動化が当たり前の光景になるかもしれません。時代の変化に即応する企業の姿勢を、これからも注視していきたいものです。
コメント