世界を揺るがしている新型肺炎の影響により、日本の主要自動車メーカーが中国にある工場の稼働再開を相次いで延期する事態となっています。2020年02月07日、ホンダは湖北省武漢市に構える乗用車工場の再開時期を、2020年02月17日の週に遅らせる方針を明らかにしました。当初は2020年02月14日以降を目指していましたが、安全面を考慮して最短の再開スケジュールを先送りする形となっています。
ホンダの倉石誠司副社長は記者会見で、「17日の週には再開できるよう準備を進める」と説明しました。現在は生産ラインの改修工事を進めながら、従業員の健康と安全の確保、設備の稼働状況、そして部品供給のネットワークを慎重に確認している段階です。SNS上では「武漢といえば自動車産業の要。ここが止まると世界への影響が心配」「働く人の安全が最優先だから、延期は当然の判断だと思う」といった、不安と理解が入り混じった声が飛び交っています。
一方、トヨタ自動車も停止している中国国内の4つの工場について、稼働再開をこれまでの計画からさらに1週間延ばし、2020年02月17日以降にすると決定しました。具体的な再開タイミングは、部品を調達するルートや物流網の回復状況を見極めた上で総合的に判断する見通しです。完成車を組み立てるには数万点に及ぶ部品が不可欠であり、一箇所でも供給が滞ればラインは動きません。物流網の寸断がいかに大きな影を落としているかが窺えます。
さらに三菱自動車も、湖南省長沙市にある完成車工場の稼働を2020年02月17日以降へと遅らせる方針を2020年02月07日に固めました。同社は1月末の時点で、稼働の再開時期を2020年02月03日から2020年02月10日へと一度延期していましたが、事態の長期化を受けて再延期を余儀なくされた形です。このように各社が足並みを揃えるように慎重な姿勢を強めており、現地の経済活動が凍結に近い状態であることが浮き彫りになりました。
今回の局面で鍵となるのが、自動車業界の「サプライチェーン」の動向でしょう。これは、原材料の調達から部品の製造、組み立て、そして消費者に届くまでの全プロセスのつながりを指す専門用語です。今回の肺炎拡大は、この国際的な供給網を分断するリスクを孕んでいます。工場自体の準備が整っても、部品を運ぶトラックや港湾が機能しなければ車は作れません。だからこそ、各メーカーは再開に慎重にならざるを得ないのです。
私は今回の各社の決断について、企業の社会的責任と危機管理の観点から非常に賢明であると支持します。目先の生産利益よりも従業員の命を守ることを最優先した姿勢は、中長期的なブランド価値を高めるはずです。ただ、中国は世界の自動車生産の心臓部であり、この停滞が日本国内の生産や世界経済に及ぼす二次被害は計り知れません。各社には、代替調達ルートの確保など、供給網の多重化を急いでもらいたいと切に願います。
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