高級家具販売の老舗として知られる大塚家具が、苦境に立たされています。同社は2020年2月10日、2020年4月期の単独最終損益が66億円の赤字に陥る見通しだと発表しました。4期連続となるこの巨額赤字の背景には、家電量販店大手であるヤマダ電機の子会社となったことに伴う、大規模な資産評価の見直しがあります。
インターネット上のSNSなどでは、「あの華やかだった大塚家具がここまで追い詰められるとは」「ヤマダ電機のノウハウでなんとか復活してほしい」といった、驚きや今後の再生を期待する声が数多く寄せられている状況です。誰もが知るブランドだからこそ、今回の発表が社会に与えたインパクトは非常に大きいと言えるでしょう。
今回の決算において注目すべき専門用語が「棚卸し資産評価損」です。これは、企業が販売目的で保有している在庫(棚卸し資産)の価値が、売れ残りや市場価格の下落によって低下した際、その減少分を損失として計上することを指します。大塚家具はヤマダ電機の傘下に入ったことで、家具などの在庫評価基準を厳格に見直しました。その結果、18億円という巨額の評価損を売上原価に計上することとなったのです。
さらに、今回の2020年4月期は決算期の変更に伴い、16カ月間という変則的な長期決算となっています。それにもかかわらず、期間中の売上高は368億円にとどまる見込みです。12カ月決算だった前期の実績である373億円を、期間が長いにもかかわらず下回るという、非常に厳しい現状が浮き彫りになりました。
この減収の主な要因としては、不採算店舗の閉鎖を進めていることに加え、首都圏の大型店舗における競合他社との激しいシェア争いが挙げられます。かつての会員制ビジネスから路線変更を図ったものの、ニトリやイケアといった低価格帯のライバルや、他の中価格帯ブランドとの差別化に苦戦している様子が伺えます。
加えて、世界的な流行の兆しを見せる新型肺炎による影響も懸念材料です。今回の業績予想には、中国事業の2020年1月までの実績しか織り込まれていません。今後の感染拡大の状況によっては、さらなる下振れリスクを含んでいるため、依然として先行き不透明な状態が続いていくと予想されます。
ちなみに、2019年1月から2019年12月までの1年間における売上高は、前年の同じ時期と比べて27%減の273億円となり、最終損益は56億円の赤字でした。前期の32億円の赤字からさらに損失が拡大しており、本業の儲けを示す営業損益も66億円の赤字となる見通しで、経営の抜本的な立て直しが急務となっています。
編集部の視点として、今回の赤字先行は決してネガティブな側面だけではないと考えます。ヤマダ電機の強力な販売網や資金力を背景に、いわゆる「膿を出し切る」ための資産健全化を断行した結果と言えるからです。家電と家具を融合させた新しいライフスタイル提案が消費者に浸透すれば、V字回復を果たす可能性は十分にあります。老舗のプライドをかけた今後の大逆転劇に、大いに注目していきたいところです。
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