JR九州が2020年2月10日に発表した2019年4月から12月期の連結決算は、最終的な儲けを示す純利益が前年の同じ時期と比べて10%減少し、353億円となりました。この減益の背景には、国から適用されていた「税制特例措置」の廃止が大きく影響しています。税制特例措置とは、特定の条件を満たす企業に対して税金の負担を軽くする優遇制度のことです。このサポートがなくなったことに加え、東京や福岡での新しいホテル開業に向けた準備費用がかさんだことで、4〜12月期としては2期連続のマイナスという結果を迎えました。
一方で、本業の売れ行きを示す売上高は、前年同期比2%増の3196億円と堅調な伸びを見せています。2017年の九州北部豪雨で大きな被害を受け、運休を余儀なくされていた一部の在来線が2018年夏に待望の運転再開を果たしたことが追い風となりました。さらに、2019年秋に開催されたラグビーワールドカップが起爆剤となり、九州新幹線や臨時の列車を利用して移動するインバウンド(訪日外国人観光客)や国内の旅行者が急増したことも、売上を大きく押し上げる要因となっています。
ネット上やSNSでは「減益は寂しいけれど、豪雨からの復旧やラグビーの盛り上がりが数字に見えて安心した」「特例措置がなくなれば一時的に苦しくなるのは仕方がない、ここが踏ん張りどころ」といった、同社を前向きに応援する声が多数寄せられていました。また、今回の決算発表と同時に、2020年2月25日に発行済み株式数の1.69%にあたる「金庫株(自社が保有する自社の株式)」を消却することも公表され、株主を大切にする姿勢に対しても投資家から好意的な反響が集まっています。
しかし、手放しでは喜べない課題も浮き彫りになりました。分譲マンションの引き渡し戸数が減少したことに加え、鉄道やマンション建設現場における深刻な人件費の高騰が利益を圧迫しています。さらに、流通事業や外食事業への積極的な新規出店に伴う初期コストも重くのしかかり、本業の儲けを表す連結営業利益は9%減の458億円にとどまりました。いくら売上を伸ばしても、人手不足によるコスト上昇や先行投資の負担をどのように克服していくかが、今後の成長のカギを握るでしょう。
足元では新型肺炎の感染拡大という新たな試練が直撃しており、九州を訪れる外国人客は2020年1月下旬から急激に落ち込んでいます。それでもJR九州は、通勤や通学といった日常的な旅客数全体への影響は限定的であると冷静に分析しました。そのため、2020年3月期の通期業績予想については、従来の計画をそのまま維持する方針を示しています。インバウンド依存からの脱却と国内需要の底堅さが試される局面ですが、九州の交通網を支える同社がこの逆風を乗り越えてくれることを期待せずにはいられません。
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