私たちの生活を支えるアスファルトに、今まさに革新の波が押し寄せています。長野県に本社を置く土木管理総合試験所は、2020年中に全国の道路コンディションを可視化したデータの販売をスタートさせることを決定いたしました。これまでは専門業者へ大規模に委託することが当たり前だった道路調査ですが、なんと100メートル単位という手軽なサイズでデータを小口購入できるようになります。身近なインフラの安全をピンポイントで確認できる画期的な試みです。
このプロジェクトを支えるのが、東京大学と共同で生み出された最先端の自動道路解析システム「ロードス」でしょう。特殊なカメラや電磁波レーダーを搭載した専用車両を走らせるだけで、路面のひび割れはもちろん、肉眼では決して見えない地中の空洞まで見事に見つけ出すことができます。SNS上でも「車を走らせるだけで道路の健康診断ができるなんてSFの世界みたいだ」「地中の危険を事前に察知できれば安心感が違う」と、期待の声が続々と上がっています。
AIによる自動解析がもたらす圧倒的なスピード感
2020年の春から、いよいよ全国の高速道路や国道を網羅する大がかりな調査が幕を開けます。時速80キロメートルで巡航する高速道路であれば、わずか2週間ほどで全てのデータを収集できる見込みです。また、総延長の長い国道についても、2年ほどの歳月をかけてじっくりと網羅していく計画が進んでいます。ベテランの調査員が目視で行っていた従来の点検に比べ、人工知能であるAIを活用した「ロードス」の解析スピードは、まさに目を見張るものがあります。
ここで使われている「電磁波レーダー」や「3Dレーザーカメラ」といった専門技術は、インフラの長寿命化に欠かせない要素技術です。電磁波を地面に向けて放射し、跳ね返ってくる時間や強さの違いを計算することで、掘り返すことなく地下の異常を検知できます。さらに蓄積された画像データを独自のアルゴリズム、つまり計算手順で処理することにより、橋の内部に潜む目に見えない劣化まで一瞬で見分けることが可能です。効率的な補修計画には必須の技術と言えます。
老朽化が進む日本のインフラに差し込む希望の光
高度経済成長期に一斉に整備された日本の道路は、現在またたく間に老朽化が進んでいます。地中に埋められた水道管のトラブルなどが原因で発生する道路の陥没や空洞化は、全国で毎年数千件も発生しており、まさに一刻を争う社会課題です。国も自治体に対して5年に1回以上の定期点検を強く求めていますが、予算や人手不足に悩む地方自治体にとって、その負担は決して軽いものではありません。1キロメートルあたり数万円も要していたコストがネックでした。
そこで、同社はあらかじめ自社でデータを収集しておき、必要な部分だけを安価に提供する独自のビジネスモデルへ舵を切りました。これにより、予算の限られた自治体や地域の建設業者、ゼネコン、コンサルティング会社まで、誰もが必要なときに質の高いデータへアクセスできるようになります。2019年4月には社内にAI研究の専門組織を立ち上げるなど、システムへの投資も怠りません。業績が拡大基調にある同社だからこそ挑戦できる、素晴らしい事業です。
編集部としても、この挑戦は日本の国土強靭化を加速させる極めて価値のある一歩だと確信しています。これからの時代は、壊れてから直すのではなく、AIの力を借りて壊れる前に先手を打つ「予防保全」へのシフトが不可欠です。土木管理総合試験所が仕掛けるこのデータビジネスは、行政のコスト削減を実現するだけでなく、私たち市民が日々安心して暮らせる社会を作るための、強力なセーフティネットになっていくに違いありません。
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