仙厓義梵「すす玉名人図」の魅力に迫る!福岡市美術館で出会う、元祖・ゆるかわ日本美術の至宝

福岡の歴史と文化を語る上で欠かすことのできない人物といえば、江戸時代後期に活躍した禅僧、仙厓義梵(せんがいぎぼん)でしょう。1750年に生まれ、1837年にこの世を去るまで、日本最初の禅寺である聖福寺の住職を務めながら、数多くの独創的な書画を残しました。彼の作品は、かつての博多っ子から現代の若者まで、時代を超えて人々を惹きつけてやみません。SNS上でも「この脱力感がたまらない」「江戸時代にこれほどモダンな感性があったのか」といった驚きの声が広がっています。

今回ご紹介する「すす玉名人図」は、まさに仙厓さんの遊び心が爆発した一幅です。画面の中では、曲芸師が今でいうジャグリングのように、さまざまな物を空中に放り投げています。描かれているのは、おめでたい鯛や縁起物のネズミ、さらには天神様やまるでお寿司のようなものまで。常識にとらわれないモチーフの選択からは、仙厓が掲げた「厓画無法(がいがむほう)」という独自の境地が伝わります。これは、既存の描法や形式に縛られず、自由奔放に描くという彼自身の創作哲学を指しています。

この作品を含む貴重な「小西コレクション」は、福岡で証券会社を営んでいた故・小西友次郎氏が情熱を傾けて収集したものです。仙厓の初期から晩年までの名品だけでなく、彼が日常で愛用していた品々までを網羅した、まさに生粋の「仙厓通」による逸品揃いと言えます。2016年に遺族から福岡市美術館へ55点もの作品が寄贈され、2019年10月からは待望のまとまった形での一般公開が予定されています。郷土が生んだ名僧への深い敬愛の念が、こうした寄贈を通じて現代に受け継がれているのです。

私が思うに、仙厓の絵が現代人の心を掴む理由は、単に「可愛い」からだけではありません。厳しい禅の修行を積んだ高僧が、あえて肩の力を抜き、人々に寄り添うような「軽妙さ」を選んだ点に深い慈愛を感じるのです。2019年春にリニューアルオープンした福岡市美術館は、2019年11月に開館40周年という節目を迎えます。巨匠・前川國男が手がけた建築意匠を守りつつ、最新のカフェやショップ、親しみやすい学芸員の解説など、アートをより身近に感じさせる工夫が随所に散りばめられています。

美術館では、これまでアートに馴染みがなかった人々へのアウトリーチ(外への普及活動)も精力的に展開中です。仙厓がかつての市井の人々と交流し、楽しみを提供し続けたように、美術館もまた新たな挑戦を重ねています。これからの活動に大きな期待を寄せてやみません。歴史と現代、そして遊び心が見事に調和する空間。あなたもぜひ、この秋に「博多の仙厓さん」の洒脱な世界を体感してみてください。

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