日経平均大幅高の裏に潜む罠?新型肺炎で揺れる中国経済と投資戦略の再構築

東京株式市場が激しく揺れ動いています。2020年2月6日の東京市場において、日経平均株価は大幅に3日続伸を記録しました。世界経済の大きな足かせとなっていた米中貿易摩擦の緩和期待が、今回の株価上昇を牽引する起爆剤となった模様です。一見すると市場に活気が戻ったかのように思えますが、兜町の専門家たちの表情は驚くほどに曇っています。なぜなら、今回の急騰の背景には、手放しでは喜べない市場特有の複雑な舞台裏が隠されているからなのです。

SNS上でもこの値動きは大きな注目を集めており、「底を打ったのではないか」という楽観的な声が上がる一方で、「実体経済が伴っていない」といった警戒感を示す書き込みも目立ちます。このように、投資家たちの間でも意見が真っ二つに分かれる予測不能な展開が続いています。株価という目に見える数値の上では最悪の期を乗り越えたかのように映りますが、その先に待ち受ける景色は、深い霧に包まれて依然として見通すことができない状況と言わざるを得ません。

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急騰を演出した「ショートカバー」の正体

「今回の動きはショートカバーに過ぎない」と、大手証券会社の市場担当幹部は冷ややかに分析します。ショートカバーとは、投資家が過去に仕掛けた「空売り」のポジションを買い戻す決済行動を指す専門用語です。空売りは株価が下がると利益が出る仕組みですが、予想に反して株価が上昇してしまった場合、損失の拡大を防ぐために株を買い戻さなければなりません。この損失覚悟の買い戻しが、結果として株価をさらに押し上げる要因となったのです。

新型肺炎の感染拡大に伴い、製造業の部品供給網が機能不全に陥ると睨んだヘッジファンドなどの短期投資家たちは、事前に空売りの規模を大きく膨らませていました。ところが、中国政府が春節の連休明けに大規模な金融緩和策を打ち出したことで、株価は思うように下落しなくなりました。さらに2020年2月6日には、中国政府が米国からの輸入品に対する関税引き下げを発表したため、短期筋は一斉に買い戻しを迫られる展開となったのです。

この切迫した動きは、証券会社の取引データにも如実に表れています。例えば、クレディ・スイス証券の動向を見ると、2020年2月3日時点では1600枚を超える売り越しを記録していました。しかし、同年2月5日には買い越しへと転じ、翌日の2020年2月6日には2000枚を大幅に上回る買い越しを執行しています。他の主要な証券会社でも、2月に入ってから買い注文が膨らんでおり、今回の株価急騰の辻褄が合う結果となっています。

ビッグデータが暴く中国経済の冷酷な現実

中国政府が次々と打ち出す想定外の経済対策を前に、ここからの追加の空売りは仕掛けにくい空気が漂っています。だからといって、霧が晴れたように霧消し、ここから積極的に買いを入れられるかといえば、決してそうではありません。懸念の震源地は、やはり実体経済へのダメージが不透明な中国にあります。米国のデータ分析企業であるディープマクロ社は、人工衛星の画像をはじめとする膨大な情報を解析し、タイムリーに景気の異変を察知しました。

同社の分析手法は非常にユニークで、トラックの物流動向と密接に連動する大気汚染の状況や、現地の家賃推移などを網羅しています。これらは、その地域の経済活動を生々しく反映する指標です。この最新のデータによると、中国経済は一時的な不況期を脱して回復基調にありましたが、2020年2月に入った途端、その回復の勢いが急激に失速したことが判明しました。過去の春節の時期と比較しても、その落ち込み方は異様なほどに急ピッチです。

こうした冷酷な現実を裏付けるように、金融大手のゴールドマン・サックスのエコノミストは、2020年1月から3月期の中国の国内総生産(GDP)の伸び率の見通しを、従来の5.6%から4%へと大幅に引き下げました。GDPとは国内で一定期間に生み出された付加価値の総額のことで、国の経済規模を測る最も重要な指標です。世界経済の成長シナリオが崩れ去るなか、長期的な視点で資産を運用する投資家にとっては、極めて動きにくい局面を迎えています。

投資戦略の抜本的な練り直しが不可欠な理由

混迷を極める状況をよそに、日経平均株価は節目の2万4000円台の回復を射程圏内に捉え、ここからは株価が一段と上昇しやすい領域に足を踏み入れました。しかし、専門家からは「新型肺炎への過度な恐怖心が和らいだとしても、今後発表される経済指標の悪さが株価の上値を抑え込むだろう」との冷ややかな指摘がなされています。実体経済の悪化を示す統計データが次々と公表されれば、現在の株価の勢いが急停止するリスクは十分に考えられます。

現在の市場は、短期投資家にとっては踏み上げの恐怖から空売りを仕掛けにくく、一方で中長期の投資家にとっては割高感と先行き不透明感から買いを入れにくいという、極めて身動きが取りづらい構造に陥っています。私は、今回の株価上昇を「バブル的なあだ花」として警戒すべきだと考えます。目先の数字に惑わされることなく、今こそ全投資家が自身のポートフォリオを見直し、今年の防衛的な投資戦略をゼロから構築し直すべき局面でしょう。

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