中国自動車市場2020年も縮小の危機?新型肺炎がもたらすサプライチェーンへの衝撃と日本車の行方

世界最大の規模を誇る中国の自動車市場が、未曾有の試練に直面しています。2020年2月14日現在、現地では新型肺炎の感染拡大が深刻化しており、新車の生産や販売活動に甚大なブレーキがかかっている状況です。もともと景気の減速感から厳しい1年になると予想されていましたが、この予期せぬ事態によって先行きはさらに不透明さを増しています。SNS上でも「現地の工場は本当に動くのか」「日本車への影響が心配」といった、サプライチェーンの寸断を懸念する声が数多く上がっているようです。

ここでいう「サプライチェーン」とは、部品の調達から製造、流通、そして消費者に届くまでの「供給のつながり」を指す専門用語になります。現代の自動車造りは、無数の部品が複雑に絡み合うことで成り立っているのです。今回の危機において、トヨタ自動車などは2月下旬からの現地生産の本格稼働を目指しています。しかし、肝心の部品調達に支障が出る恐れが拭いきれません。各メーカーの業績へ及ぼすマイナスの影響について、市場では緊迫感を持って注視され始めています。

自動車市場の調査会社であるマークラインズのデータによると、2019年1月1日から2019年12月31日までの通年生産台数は、前年比7.5%減の2572万台という結果でした。これにより2年連続のマイナスを記録しています。同様に販売台数も8%減の2576万台程度へと落ち込みました。2019年の動向を振り返ると、中国やアメリカのメーカーが苦戦を強いられる中で、トヨタやホンダといった日本勢が孤軍奮闘していた図式が浮かび上がります。

新型車の投入といった販売戦略の違いによって、メーカーごとの明暗がはっきりと分かれた形です。かつて急成長を遂げた中国市場ですが、長引く米中貿易摩擦が影を落とし、消費者の買い控えが続いています。さらに、市場を牽引してきた電気自動車をはじめとする「新エネルギー車」への補助金が減額されたことも、需要の冷え込みに拍車をかけました。そのため、2020年を迎えた時点でも「3年連続のマイナス成長は避けられない」という見方が強まっていたのです。

そこへ追い打ちをかけたのが、今回の新型肺炎という巨大な打撃に他なりません。特に感染の中心地となった湖北省武漢市には、ホンダや仏ルノーなどが完成車の生産拠点を構えているほか、数多くの部品メーカーが進出しています。春節の大型連休が明けた後も多くの工場が生産を見合わせており、フル操業に向けたスケジュールは未だに白紙のままです。現地からは「情報が入りにくく、いつ再開できるか見通せない」という悲痛な声も漏れてきます。

企業活動への影響は武漢市だけに留まりません。防疫体制を強化するため、地方政府が工場の再稼働をストップさせるよう指示する例も相次いでいます。これにより、連休前の操業水準に戻るにはかなりの時間を要する見込みでしょう。過去にSARSが猛威を振るった2003年当時、中国の年間新車販売数は約440万台に過ぎませんでした。しかし現在、その市場規模は約5倍へと膨れ上がっており、日本勢の販売台数も当時とは比較にならないほど巨額です。

すでに2020年1月の新車販売実績では、トヨタが1%減、日産自動車が12%減、マツダが8%減と軒並みダウンしています。これには春節が例年より早く始まり、稼働日数が少なかった背景もありますが、足元では一般市民の外出自粛が深刻化しているため、2月以降のさらなる落ち込みは避けられない情勢です。編集部としては、今回の危機は単なる中国国内の問題ではなく、日本のものづくり全体の基盤を揺るがしかねない重大な局面であると捉えています。

なぜなら、中国の部品メーカーは日本を含む世界各国へパーツを供給しているからです。仮に政府の操業停止指示が解除されたとしても、労働力不足や通関業務の停滞が長引けば、世界規模で自動車の製造がストップするリスクを孕んでいます。中国汽車工業協会は2020年通年の販売予測を前年比2%減と発表していましたが、状況は一段と悪化する公算が大きいでしょう。激動の2月、私達はグローバル企業の底力が試される歴史的な転換点に立ち会っているのです。

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