2020年02月11日、関西の経済を支える中堅・中小製造業に、新型肺炎(新型コロナウイルス)の影が色濃く落とされていることが明らかになりました。日本経済新聞社が中国に拠点や取引先を持つ47社を対象に実施した調査によると、なんと6割の企業が国内の活動に悪影響が出ている、もしくは今後出る恐れがあると回答したのです。
SNS上でも「ついに地元の工場でも部品が届かなくて悲鳴が上がっている」「インバウンドの減少だけでなく、ものづくり大国の根底が揺らいでいる」といった、危機感を募らせる声が多数寄せられています。観光業の落ち込みに続き、関西経済を牽引するもう一つのエンジンである製造業への打撃は、無視できない深刻な局面に突入したと言えるでしょう。
多くの企業が頭を抱える最大の要因は、生産現場の命綱とも言える「サプライチェーン」の寸断です。サプライチェーンとは、製品の原材料・部品の調達から製造、在庫管理、そして配送を経て消費者に届くまでの「供給網」としての一連のプロセスのことを指します。中国現地での移動制限や納入先の休業により、この網が各地でプツリと途切れてしまいました。
実際に「客先の操業時期が見通せず、製品を納品できない」という試験装置会社や、「中国の調達先が動かず、出荷が心配だ」と漏らす日用品メーカーなど、現場の焦りは募るばかりです。全体の6割を超える31社が、今後の経営に「一定の、あるいは多大な影響が出る」と予測しており、事態の長期化に対する懸念は最高潮に達しています。
こうした未曾有の事態を受け、全体の5割にあたる15社が「中国以外からの調達増強」や「中国生産分の移管」といった具体策の検討・実施に動き始めました。しかし、資金力に限りのある中堅・中小企業にとって、拠点の移転や代替生産は決して容易な決断ではありません。設備投資や新たな人員確保には膨大なコストが伴うからです。
文房具メーカーからは「問題が収束した後も同じ条件で取引してくれなければ、怖くて投資できない」というリアルな本音が漏れており、衣料品会社からも「タイの工場で代替生産を試みるものの、すべてを補うのは不可能だ」という限界を指摘する声が上がっています。一筋縄ではいかない国際情勢の中で、経営者たちは苦渋の選択を迫られているのです。
一方で、この逆境をピンチではなく「商機」へと変えようと奮闘する頼もしい企業も現れました。産業用機械を手掛ける成光精密(大阪市)は、大手の国内回帰の動きを予測し、過去の顧客への営業を強化しています。また、水処理剤メーカーには中国の病院からウイルス除去に関する問い合わせが届くなど、新たなニーズも芽生えつつあるようです。
関西の輸出入総額における中国の割合は約27%と、全国平均より6ポイントも高いため、今回の事態が地域経済に及ぼすインパクトは非常に大きいと言えます。だからこそ、私たち編集部としては、企業が特定の国だけに依存せず、調達先を分散する「リスクヘッジ」の体制を今こそ構築すべきだと強く考えます。
専門家からも、中小企業の足元の負担を和らげる行政の補助金支援の重要性が指摘されています。すでに2020年01月29日から2020年02月06日にかけて金融機関などへ多数の相談が寄せられており、大阪産業創造館での窓口設置など救済の輪は広がりつつあります。官民一体となり、この難局を乗り越えるレジリエンスが求められています。
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