静岡県の商工会が攻めの組織改革!2020年度から職員採用を一本化、地域ビジネスを支える新たな挑戦

静岡県内にある35の商工会が、地域経済の未来を見据えた大胆な人事制度改革に乗り出しました。2020年度の採用から職員の雇用枠組みを「静岡県商工会連合会(県連)」へと一本化することを決定したのです。これまでは各地の商工会長と個別に労働契約を結んでいましたが、今後は県連会長との契約に切り替わり、各商工会へ出向する形へと大きくシフトします。

SNS上では「地元の商工会が活性化しそう」「若手にとって魅力的な職場になるのでは」といった期待の声が寄せられる一方で、「異動が増えて地域の繋がりが薄れないか」という心配の声も上がっています。今回の改革で職員は全県内での異動が条件となりますが、これには大きな狙いがあります。それは、若手のスキルアップを強力に後押しし、県内どこでも質の高いサポートを受けられるようにすることです。

現在、各商工会には平均11人の専属スタッフが在籍しています。内訳は、企業の経営相談に乗る「経営指導員」や日々の業務を支える「補助員」、帳簿付けを専門にサポートする「記帳専任職員」などです。ちなみに、これら専門職の多くは地域の中小企業の頼れるパートナーとして日々活躍しています。しかし、従来の仕組みには組織の若返りを阻む、ある深刻な課題が隠されていました。

実は各商工会の人件費は静岡県からの補助金で賄われているため、全体の定数が厳格に決まっています。つまり、現職のメンバーが退職しない限り、新しい人員を増やすことができない状態でした。その結果、ベテラン層が一度に引退した際にノウハウが次世代へうまく引き継げなかったり、上のポジションが詰まっていて優秀な若手が昇格できなかったりする問題が生じていたのです。

さらに、小さな組織が個別に採用活動を行うのはハードルが高く、優秀な若い人材の確保に苦戦していました。採用の時期がバラバラだったせいで、新人を一括して育成する効率的な研修すら難しかったのが実情です。そこで県連が一括して筆記試験や論文試験を行い、一定の知識を持った確かな人材を確保する体制へと舵を切りました。各商工会の採用負担も劇的に減るはずです。

この新制度のもとで、2020年04月には記念すべき第1期生となる11人の新入職員が仲間入りする予定となっています。同期が同じタイミングで一斉にスタートを切るため、充実した全体研修プログラムを組めるのが大きなメリットでしょう。また、すでに各地で勤務している既存の職員についても、本人の希望があれば別の地域の商工会へ異動してキャリアを積む道が開かれました。

静岡県内の商工会に加盟する総会員数は、3万302事業所という膨大な規模を誇ります。ものづくりや観光が盛んな土地柄もあり、商工会を通じた国の補助金活用や、経営のプロを招く専門家派遣の利用実績は全国トップクラスです。たとえば、国が小規模事業者の販路開拓を支援する「小規模事業者持続化補助金」の2017年度の採択数は339件にのぼり、全国4位という輝かしい実績を残しています。

その一方で、これまでは商工会ごとに経営支援の質にばらつきがあり、補助金の申請数や採択数に地域格差があることが課題視されていました。県連の吉田謙二事務局長は、今回の人事改革によって「どの地域でも均質なサービスが受けられるような体制づくりを進めている」と熱く語ります。今後は全県共通の人事評価制度の策定や、さらに一歩踏み込んだ研修の充実化を目指す方針です。

編集部としては、この取り組みは全国の地方組織が抱える「属人化(特定の人が辞めると業務が回らなくなる現象)」の解消に向けた素晴らしいモデルケースになると確信しています。若手が多様な地域で経験を積み、切磋琢磨することで、静岡全体のビジネスがさらに加速するに違いありません。この春から始まる11人の挑戦と、生まれ変わる商工会の動きから目が離せないでしょう。

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