医師がジムに来る!【RIZAP(ライザップ)】がシニア市場を本気で開拓、安心の「健康」指導で再建へ

パーソナルトレーニングジムとして絶大な知名度を誇るRIZAP(ライザップ)グループが、2019年6月28日、シニア市場の本格的な開拓に乗り出すというニュースを発表いたしました。これまで「結果にコミット」するダイエットのイメージが強かった同社ですが、今後は医療機関との連携を強化し、単なる減量ではなく、健康増進を目的としたトレーニング内容を充実させていく方針です。これにより、健康に不安を感じて運動をためらっていた層や、昼間に利用したいシニア層の入会を促進したい考えでしょう。

この事業戦略の軸となるのが、パーソナルトレーニングジム「RIZAP」で2019年7月から拡大される健康支援プログラムです。具体的には、内科や皮膚科などの医師がジムを訪問し、顧客に対して健康指導を無料で提供するという画期的なサービスが始まります。全国に展開する130店舗のジムが、合わせて183もの医療機関と既に提携を済ませているとのこと。シニア層や生活習慣病などの持病をお持ちの方が、トレーニングにおける不安や疑問を医師に直接相談できる体制が整えられるのは、非常に心強いと言えるでしょう。

例えば、「トレーニングに効果的なサプリメントを飲んでも大丈夫か」「どの程度の激しい運動まで許容されるのか」「食事面で特に気を付けるべきことは何か」といった専門的な質問にも、その場で医師が答えてくれます。RIZAPの教育開発部の幕田純部長は、「医師と直接話すことで、より安心してトレーニングに励んでほしい」と述べています。これは、持病や加齢に伴う身体の変化に不安を感じる方々にとって、大きな安心材料になるに違いありません。

医療機関との提携は、顧客だけでなく現場のトレーナーにとっても大きなメリットをもたらします。トレーナーは医師と密に連携を取れるようになるため、顧客一人ひとりの身体の状態や持病に適したパーソナルトレーニングプログラムを、より専門的に構築しやすくなるでしょう。これに伴い、トレーナーの育成メニューも見直され、今後は従来の美容やダイエット中心の栄養学、運動生理学に加え、糖尿病や生活習慣病に関する専門知識、疾病別の栄養摂取方法、運動時の注意点など、医療に深く関わる内容も学ばせるということです。トレーナーの専門性を高めることで、病気をお持ちの方でも安心して運動できる環境を作り、さらには病気の予防にも貢献したいという強い決意が伺えます。

このようなシニア層の取り込みは、RIZAPグループの経営再建においても重要な意味を持ちます。現在の主要顧客層は20代から30代で、彼らの多くは仕事帰りの夜間にジムを利用するため、昼間のジムの稼働率が低いという課題がありました。昼間の利用が中心となるシニア世代を呼び込むことができれば、店舗運営の効率を大幅に高めることができると見込まれています。ご存じの通り、RIZAPグループは子会社の赤字などにより、2019年3月期の連結決算で最終損益が193億円の赤字を計上していました。今期は不採算の子会社の立て直しに加え、好調なジム事業をさらに強化することで、黒字転換を達成したいという目標を持っているのです。

そもそもフィットネス業界において、セントラルスポーツやルネサンスといった大手企業の会員は半数以上が50歳以上と、シニア層が主要顧客となっています。高齢化が進む日本社会の現状を鑑みれば、RIZAPが培ってきたマンツーマントレーニングのノウハウと、今回導入する医師との連携による医療グレードの安心感は、健康寿命を延ばしたいと願うシニア層のニーズに深く合致するのではないでしょうか。私としては、この戦略は非常に合理的であり、RIZAPのブランド力を「ダイエット」から「生涯の健康」へと格上げする、素晴らしい一手だと評価しています。この取り組みが、日本の健康増進に寄与することを大いに期待したいものです。

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