焼き鳥の定番メニューとして老若男女から愛される「せせり」は、鶏の首周辺からわずかしか取れない希少な部位として知られています。この美味しい部位を効率的に食卓へ届けるため、鹿児島県曽於市に拠点を置く食肉加工機械のスペシャリスト、マトヤ技研工業が画期的な自動切断機を開発しました。これまで職人の手作業に頼り切っていた工程に、最新のテクノロジーが導入されることになったのです。
2019年07月05日に発表されたこの装置は、複雑な形状をした鶏の首部分をセットするだけで、肉を自動で切り出し、鶏ガラなどの不要な部分と正確に仕分ける機能を備えています。SNS上では「あの面倒な作業が自動化されるなんて驚きだ」「職人不足の救世主になるのではないか」といった期待の声が数多く寄せられており、業界内でも大きな注目を集めている最中といえるでしょう。
驚筆すべきはその圧倒的な処理スピードで、1時間あたりに換算すると2400羽分もの加工が可能になっています。これは熟練の作業員が手作業で行う場合と比較して、およそ3倍から4倍もの高い生産性を誇る計算です。食肉加工現場において、限られた時間内でこれほど大量の原料を処理できる能力は、工場の経営効率を劇的に向上させる強力な武器になるに違いありません。
この装置の仕組みは、円形のテーブル上に鶏の首部位を配置すると、高速で回転する丸刃が鮮やかにせせり肉を切り落とし、ベルトコンベヤーへと運んでいく構造になっています。ここで特筆すべきは、先端にある硬い骨や不要なガラを自動的に排除するシステムです。人間が介在する工程を最小限に抑えることで、衛生的な環境を維持しながらスピーディーな作業を実現しました。
「せせり」とは、1羽からわずか数十グラムしか採れない部位であり、筋肉がよく動く場所なので身が締まっていてジューシーなのが特徴です。本装置による1羽あたりの肉の確保量は平均30グラムとなっており、緻密な手作業に比べるとわずかに少なくなります。しかし、深刻な人手不足により全量を処理しきれずにいた工場にとっては、この自動化がもたらすメリットは計り知れません。
現場の使い勝手にも細やかな配慮が行き届いており、日々の清掃作業を簡略化するために、主要なパーツは工具を使わずに取り外せる設計が採用されました。衛生管理が何よりも重要視される食品業界において、メンテナンスのしやすさは製品の信頼性に直結するポイントです。本体価格は2300万円となりますが、その投資に見合うだけの労働力削減と生産効率の向上が期待できます。
最新鋭の技術が詰まったこのマシンは、2019年07月09日から東京ビッグサイトで開催される「国際食品工業展(FOOMA JAPAN)」にて、ついに一般公開と販売が開始される予定です。私は、こうした地方企業の技術革新こそが、日本の食文化を支える基盤になると確信しています。自動化が進むことで、私たちはこれからも安定して美味しい焼き鳥を楽しむことができるでしょう。
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