📈スーパー業界の勢力図は? 2018年度小売業調査で見えた大手低迷と「中食・拡大戦略」の勝者たち

2019年6月26日付の日経MJ(流通新聞)で報じられた第52回小売業調査(2018年度)の結果は、日本のスーパーマーケット業界の現状を浮き彫りにしています。調査対象となったスーパー172社の総売上高は、20兆902億円に達しましたが、17年度と比較可能な171社での伸び率はわずか0.8%に留まりました。これは17年度の1.1%増から見て、業界全体の成長が鈍化していることを示唆していると言えるでしょう。特に人手不足や物流コストの高騰といった構造的な課題が、企業経営に重くのしかかり、中小規模のスーパーでは収益力が伸び悩んでいる状況が浮き彫りになりました。

この調査結果を細かく見ていくと、全国規模で展開する「全国スーパー」(0.6%増)、複数の都道府県で事業を行う「地域スーパー」(1.2%増)、そして商圏がより限定的な「地方スーパー」(0.6%増)のいずれもが増収を達成しました。しかし、業界を牽引するはずの大手2社が減収となり、成長の鈍化に大きく影響しています。最大手のイオンリテールは0.6%減の2兆1854億円、イトーヨーカ堂も0.6%減の1兆2361億円と、厳しい結果に終わりました。長引く消費の低迷や、多様化する顧客ニーズへの対応が、巨艦企業にとっても容易ではないことを物語っています。

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「中食」と「店舗拡大」戦略が明暗を分ける

一方で、市場の厳しい状況下でも躍進を遂げた企業もあります。特に目を引くのが、お惣菜やお弁当などの調理済み食品を指す「中食(なかしょく)」需要に注力したスーパーです。ライフコーポレーションは中食分野の強化が奏功し、3.1%増という高い伸び率を達成しました。現代社会において、共働き世帯の増加や時短志向の高まりから、家庭外で調理された食事を家庭内で食べる「中食」の市場は拡大傾向にあり、これに的確に対応したことが成功の要因と考えられます。

また、郊外での店舗網の拡大戦略を進めるベイシアも0.8%の増収を確保しています。さらに、店舗拡大と低価格戦略で知られるオーケーは、地域スーパーに分類されますが、10.2%と大幅な伸びを示しました。地域スーパー全体の伸び率1.2%を大きく上回るこの結果は、戦略的な出店と顧客に響く価格設定がいかに重要であるかを証明しています。さらに、高級スーパーとして知られる成城石井は、既存店の強さとブランド力が際立ち、驚異的な12.1%増という高い伸び率を記録しています。高所得者層や食の安全・品質にこだわる層からの支持が、高い成長を支えているのでしょう。

地域に根差したスーパーの健闘も見逃せません。4つ以上の都道府県に店舗を持ち、三大都市圏のうち1つ以下に展開する「地域スーパー」は1.2%増となり、調査対象45社のうち26社が増収を確保しました。中国地方を地盤とするイズミ(0.3%増)や、ヨークベニマル(1.9%増)が堅調に推移しています。さらに商圏の狭い「地方スーパー」も全体で0.6%増となり、沖縄で展開するサンエーは2.1%増、新潟の原信は1.3%増と、地域特性を活かした経営が光っています。しかし、北海道のイオン北海道は0.5%の減収となっており、地域によって明暗が分かれている状況が見て取れるでしょう。

収益面での二極化とSNSの反響

売上高の数字は増加傾向にあるものの、収益面では中小のスーパーの苦戦が鮮明です。特に「地方スーパー」は経常利益で5.2%減、「地域スーパー」も2.1%減と落ち込みが目立ちました。これは、人件費の高騰や、燃料費・運送費の上昇といったコスト増を、売上増で吸収しきれていない現状を示しています。企業がいくら頑張って売上を伸ばしても、コスト増によって利益が圧迫されるという、小売業界全体が直面する構造的な課題が、この経常利益の減少率に凝縮されていると言えるでしょう。

この調査結果が公表された当時のSNSでは、「やっぱりイオンやヨーカドーのような大手は厳しいのか」「中食の需要は本当にすごい」「オーケーの伸びは納得感がある」といった声が多く見受けられました。特に、生活者の実感を伴う「中食」や「オーケーの成長」に関する話題は、大きな関心を集めています。消費者の目線から見ても、生活様式の変化に対応し、かつコストパフォーマンスに優れたスーパーが支持されていることが窺えます。今後、スーパー業界は、単に商品を販売する場ではなく、調理済みの商品提供や、利便性の高いサービスを提供できるかどうかが、生き残りの鍵になるでしょう。

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