四国の主要都市において、土地の価値を示すバロメーターに劇的な変化が訪れています。高松国税局が2019年7月1日に発表した同年1月1日時点の最高路線価によれば、松山、高松に続き、ついに高知市でも価格が上昇に転じました。路線価とは、主要な道路に面した標準的な宅地1平方メートルあたりの評価額を指し、相続税や贈与税を算出する際の基準となる重要な指標です。
今回の発表で最も世間を驚かせたのは、高知市中心部の「帯屋町商店街」が27年ぶりにプラス成長を記録したことでしょう。1平方メートル当たり21万円という価格は、前年比で2.4%のアップとなります。SNS上でも「ついに高知の地価が底を打ったのか」「街が活気づくのは嬉しい」といった、地元の復活を喜ぶ声が数多く寄せられており、長らく続いた低迷期からの脱却を予感させています。
この活況を支えているのは、2018年7月にオープンした図書館複合施設「オーテピア」などの再開発だけではありません。背景には、海外から日本を訪れる「インバウンド」の急増があります。高知港では2019年3月から新しい客船ターミナルの供用が開始され、大型クルーズ船での観光客受け入れ態勢が整いました。こうした交流人口の拡大への期待が、不動産投資への意欲を力強く後押ししているのです。
松山・高松は上昇が定着!ホテル建設ラッシュが続く四国経済
香川県の高松市でも、街の活気はさらに勢いを増しています。「高松丸亀町商店街」の路線価は3.0%増の34万円に達し、これで3年連続の上昇となりました。高松空港の国際線が毎日運航されるなど、利便性の向上が訪日客を呼び寄せ、周辺では宿泊施設の需要が極めて高い状態です。これほど順調な推移を見せると、今後も堅調な地価の維持が期待できるのではないでしょうか。
愛媛県の松山市も負けてはいません。「大街道商店街」は1.6%増の65万円を記録し、4年連続のプラスとなりました。特に2020年夏の開業を目指すビジネスホテルの建設計画が進むなど、観光・ビジネスの両面から投資が集中しています。一方、徳島市の「徳島駅前広場通り」は30万円と前年並みでしたが、飲食店の出店意欲は高く、将来的に再び上昇する可能性を十分に秘めていると言えます。
編集者の視点から見れば、今回の路線価上昇は「点」から「面」への広がりを感じさせます。これまで特定の都市に限定されていた活気が、交通インフラの整備や観光資源の再発見によって、四国全域へと波及し始めているのは非常にポジティブな兆候です。特に、ピーク時から9割以上も値下がりした「割安感」が投資家にとって魅力的な材料となっている点は、賢い資産運用の観点からも注目すべきポイントでしょう。
しかし、手放しで喜んでばかりもいられません。四国全体の標準宅地を見ると、平均変動率は0.7%の下落となっており、27年連続でマイナスを記録しています。全国の国税局別で見ても、地価が下がっているのは北陸と四国のみで、四国は9年連続で最下位という厳しい現実に直面しています。これは人口減少という構造的な問題が、中心部以外の土地需要を冷え込ませていることを如実に物語っています。
中心市街地の「光」がまぶしさを増す一方で、周辺地域の「影」をどう解消していくかが今後の四国の大きな課題です。特定の観光スポットだけでなく、地域全体の価値をいかに高めていくか。今回の高知の27年ぶりの反転を、単なる一時的な流行で終わらせることなく、持続可能な地域活性化のステップへと繋げていく知恵が、今まさに私たちに問われているのではないでしょうか。
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