中国政府が、世界を驚かせる大胆な市場開放のカードを切りました。大連で開催されている「夏季ダボス会議」において、2019年07月02日に李克強首相が行った表明は、これまでのスケジュールを大幅に塗り替える内容となっています。具体的には、証券会社や生命保険会社といった金融機関に対して課していた「出資規制」を、当初予定していた2021年から1年も前倒しし、2020年には外資100%の資本で設立できるように改める方針を打ち出しました。
ここで注目すべき「出資規制」とは、海外企業が中国国内でビジネスを行う際、中国企業との合弁を義務付けたり、出資比率に上限を設けたりするルールのことです。この壁が取り払われることは、グローバルな金融資本にとって、中国という巨大市場の果実を自らの手で直接つかみ取れるチャンスが到来することを意味します。政府がここまで急ぐ背景には、米国との貿易摩擦が深刻化する中で、海外資本が中国から離れていくことへの強い焦燥感が透けて見えます。
SNS上でもこの発表は大きな議論を呼んでおり、「中国の本気度を感じる」といった期待の声がある一方で、「貿易戦争における対米譲歩に過ぎないのではないか」といった冷静な分析も目立ちます。投資家たちの間では、実際に規制緩和がどれほどのスピード感で実行されるのか、固唾を呑んで見守る空気が広がっているようです。李首相が「中国経済は現在、下振れの圧力に直面している」と自ら認めた点も、市場の緊張感をさらに高める要因となっています。
金融のみならず交通・通信分野も!全方位で進む「鎖国」の終わり
開放の波は、金融セクターだけに留まりません。李首相は、交通や通信、さらにはインターネット分野についても、2020年を境に規制を緩和していく考えを明らかにしました。これまで、これらの産業は国の安全保障に直結するとして、外資の参入が厳しく制限されてきた「聖域」でもあります。そこへメスを入れるという判断は、経済成長を維持するためには、もはやなりふり構っていられないという中国指導部の危機的な状況を物語っています。
今回の決断について私自身の見解を述べさせていただくと、これは単なる景気対策を超えた、中国経済の構造的な転換点になると考えています。外資を呼び込むことで競争を促し、停滞しつつある国内産業に刺激を与える劇薬としての側面が強いでしょう。しかし、自由な競争を重んじる外資企業が、中国特有の政治的リスクや情報管理体制とどのように折り合いをつけていくのかについては、今後も慎重に見極める必要があるのではないでしょうか。
2019年07月03日現在の状況を鑑みると、この発表が米国との通商交渉における強力な「交渉材料」として機能することは間違いありません。トランプ政権が求める構造改革の要求に対し、目に見える形での回答を示した格好です。中国が掲げた「2020年の全面解禁」という公約が、果たして世界のマネーを再び呼び戻す呼び水となるのか、それとも一時的な緩和に終わるのか、その行方は世界経済全体の命運を握っていると言っても過言ではありません。
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