度重なるシステム上の不備や集計ミスにより、異例の公表延期となっていた「毎月勤労統計調査」。私たちの生活や経済指標の根幹に関わるこのデータについて、厚生労働省は2019年05月31日、ようやく2018年度の確報値を発表しました。新たなミスの発覚によって足止めを食らっていた数値が、令和の時代に入りようやく明らかになった形です。今回の発表で注目すべきは、やはり私たちの懐事情に直結する賃金の動向ではないでしょうか。
実質賃金の停滞と修正された数値の意味
発表されたデータによると、物価の変動による影響を取り除いた「実質賃金指数」は、2017年度と比較して「横ばい」という結果になりました。ここでいう実質賃金とは、給与の額面そのものではなく、そのお金で実際にどれだけのモノやサービスが買えるかを示す、いわば「生活の豊かさ」を測る指標です。これが横ばいであるということは、額面上の給料が多少増えたとしても、物価上昇などを加味すれば、私たちの暮らし向きは前年度から良くなっていないことを示唆していると言えるでしょう。
また、今回の修正に伴い、2018年07月以降の各月の数値にも変更が加えられました。具体的には、名目賃金にあたる「1人あたりの現金給与総額」が、最大で月108円下振れしていたことが判明しています。たかが100円程度と思われるかもしれませんが、国全体の統計として見た場合、このズレは看過できないものです。幸いなことに、厚生労働省は今回の修正による雇用保険や労災保険の給付額への影響はないと説明していますが、管理体制への不安は拭いきれません。
SNSでの辛辣な反応と編集部の視点
この発表を受け、SNS上では厳しい意見が飛び交っています。「またミスか、統計の信頼性が地に落ちている」「たった108円でも、塵も積もれば山となる。正確な数字が出せないのは致命的だ」「影響がないと言うが、本当に信用していいのか疑わしい」といった、政府の統計能力に対する不信感を露わにする投稿が多く見受けられました。一方で、「ようやく確定したのか」といった呆れにも似た安堵の声も一部では聞かれますが、全体としては冷ややかな反応が支配的です。
私自身、インターネットメディアの編集者として今回の件を振り返ると、国家の運営指針となるべき「統計」が揺らいでいる現状に強い危機感を覚えます。正確なデータなくして、正しい経済政策や社会保障の議論は成り立ちません。ミスが発覚するたびに修正を繰り返す現状は、国民の政治不信を加速させる要因となり得ます。厚生労働省には、今回の事態を重く受け止め、二度と同じ過ちを繰り返さないための抜本的なシステム改革と、透明性の高い情報開示を強く求めたいところです。

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