回転寿司チェーン大手の「くら寿司」から、就職活動中の学生だけでなく、世間の度肝を抜くような驚きのニュースが飛び込んできました。なんと、2020年春入社の新卒採用において、入社1年目から「年収1000万円」を支給する幹部候補生を募集するというのです。本日、2019年6月1日時点での情報をもとに、この破格の待遇の裏側にある狙いや、業界に与える衝撃について深掘りしていきましょう。
通常、日本の飲食業界における新卒の初任給といえば、決して高いとは言えないのが現状です。実際にくら寿司の有価証券報告書を見ても、従業員の平均年収は約450万円ほどとなっています。つまり、今回の募集では、いきなり平均の2倍以上、文字通り「桁違い」の給与が提示されていることになります。対象となるのは、26歳以下でビジネスレベルの英語力を持つ人材で、最大で10名ほどを採用する予定とのことです。
世界で戦うための「即戦力」育成プログラム
この「年収1000万円」という数字だけが一人歩きしそうですが、求められるハードルも相応に高いものが設定されています。採用された幹部候補生は、入社後の2年間、店舗での現場研修や購買部などでの「OJT」を受けることになります。ここでいうOJTとは「On-the-Job Training」の略で、実際の業務を通じて仕事の知識やスキルを身につける教育訓練のことです。現場の厳しさとビジネスの仕組みを徹底的に叩き込まれる期間と言えるでしょう。
国内での修行を終えた後は、約1年間の海外研修に参加し、その後は個々の適性に合った部署で部長職相当の業務を担うことになります。まさに、将来の経営幹部を育てるための英才教育プログラムです。また、この募集は新卒に限らず、条件を満たせば既存の社員も応募可能とのことで、社内にも大きな刺激を与えることになるでしょう。給与形態は「年俸制」が採用されますが、これは年間の給与総額をあらかじめ決めて支払う制度であり、成果主義的な側面が強い外資系企業などでよく見られる形態です。
SNSでの反響と海外戦略への本気度
このニュースは瞬く間にネット上を駆け巡り、SNSでは早くも大きな反響を呼んでいます。「夢がありすぎる」「英語を勉強しておけばよかった」といった羨望の声が上がる一方で、「プレッシャーが凄そう」「2年で部長級になれるのか」といった現実的な厳しさを指摘する意見も見受けられます。賛否両論あるものの、多くの人々がくら寿司の「本気」を感じ取っていることは間違いありません。
では、なぜこれほどまでの好待遇を用意したのでしょうか。その背景には、くら寿司が推し進める積極的な海外展開があります。現在、同社は米国で21店舗、台湾で18店舗を運営していますが、今後は海外で毎年10店舗程度のペースで出店を加速させる方針です。少子高齢化による人手不足や人件費の高騰など、日本国内の事業環境が厳しさを増す中、海外市場の開拓は企業の存続をかけた重要課題なのです。
編集部の視点:人材獲得競争は新たなステージへ
私自身、このニュースに接して「日本の雇用慣行が変わりつつある」という強い予感を抱きました。これまでの日本企業、特に飲食業界では、下積み期間を長く設け、年功序列で徐々に昇給していくのが一般的でした。しかし、グローバルな競争環境において優秀な人材を確保するためには、年齢や経験に関わらず、能力に対して適正な対価、あるいはそれ以上の投資を行う必要があります。
くら寿司のこの決断は、単なる話題作りではなく、グローバル企業へと脱皮するための必要不可欠な投資だと感じます。2020年の春、この厳しい選抜を潜り抜けた若きエリートたちが、日本の回転寿司を世界の「SUSHI」へとさらに進化させてくれることに期待せずにはいられません。この動きが他社にも波及し、日本の若者の待遇改善につながる起爆剤となることを願うばかりです。
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