2019年6月3日(現地時間)、米アップルがカリフォルニア州サンノゼ市で開催したソフトウェア開発者向けの祭典「WWDC」において、パソコン向けコンテンツ管理アプリケーション「iTunes(アイチューンズ)」を今秋から提供する最新の基本ソフト(OS)には搭載しないと発表しました。これは、長年にわたり音楽や動画のデジタルコンテンツの象徴的な存在であったiTunesにとって、大きな転換点と言えるでしょう。
今後は、アップルの主力製品である「iPhone(アイフォーン)」と同様に、機能ごとに特化した「ミュージック」「TV(ティーヴィー)」「ポッドキャスト」の3つの専用アプリケーション(アプリ)に分割されることになります。この変更は、パソコン用の新しいOS「Mac OS Catalina(マック オーエス カタリナ)」において実施される計画です。一つのアプリで音楽や動画など様々なコンテンツを扱っていたiTunesの煩雑さが解消され、ユーザーの利便性が大幅に向上すると期待されています。
iTunesは、2001年に携帯型音楽プレーヤー「iPod(アイポッド)」の登場と時を同じくしてサービスを開始しました。CDに代わるデジタルコンテンツ配信の仕組みとして、音楽産業などのデジタル化を大きく牽引し、私たちの音楽視聴スタイルを根底から変えた立役者です。しかしながら、近年は定額で音楽や動画が聴き放題・見放題となる「ストリーミング型」の配信サービスが主流となり、iTunesの利用は伸び悩んでいたことが推測されます。
今回の発表を受け、SNSでは「ついにこの日が来たか」「ありがとうiTunes、お疲れ様」といった、長年の功績をねぎらう声や、「機能ごとに分かれるのは使いやすくなりそうで歓迎!」「これでMacとiPhoneでの使い勝手が統一されて分かりやすくなる」など、機能分割に対する肯定的な意見が多く見受けられました。一方で、「iPod時代からの思い出のアプリだったのに寂しい」といった惜しむ声もあり、多くのユーザーにとってiTunesが単なるアプリ以上の存在であったことが伺えます。
私見になりますが、今回のアップルの決断は、時代の流れとユーザーのニーズを正確に捉えたものだと評価できます。ストリーミングサービスが普及した現代において、購入・ダウンロードしたコンテンツの管理とストリーミングを一つのアプリで混在させる必要性は薄れています。専用アプリへの分割は、ユーザー体験(UX)の最適化を目指すアップルらしい賢明な選択と言えるでしょう。
また、このWWDCでは、iPhone向けの新しいOS「iOS 13(アイオーエス サーティーン)」も発表されました。特に注目すべきは、アプリケーションにログインする際に、フェイスブックやグーグルのアカウントに代わって、アップルIDを利用できる機能の導入です。これは、顔認証や指紋認証といった技術を活用し、さらにアプリ内での利用履歴を分析しないなど、ユーザーの「プライバシー保護機能」を強化する狙いがあります。
さらに、タブレット端末「iPad(アイパッド)」向けには、専用のOSとなる「iPad OS(アイパッド オーエス)」を今秋から提供する計画も表明されました。これはiPadをよりパソコンに近い形で活用できるようにするための進化であり、ハードウェアの高性能化に合わせてソフトウェアも進化させるという、アップルの強い意思を感じさせます。これらの新OSの登場により、今年の秋以降、アップル製品を取り巻く環境は大きく変わることになるでしょう。
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