2019年07月22日、イギリスの通信政策が大きな転換点を迎えました。ライト・デジタル相は英議会において、次世代通信規格である「5G」のインフラ構築に中国の通信機器大手、ファーウェイ(華為技術)を採用するかどうかの結論を、現時点では見送る意向を公式に表明したのです。この決定により、世界が注目する超高速通信網の行方は、次期首相へとバトンが渡されることとなりました。
そもそも「5G」とは、現在私たちが使っている4Gを遥かに凌ぐ、高速・大容量・低遅延を実現する通信技術を指します。あらゆるモノがインターネットにつながるIoT時代の基盤となるため、その安全性が国の命運を左右すると言っても過言ではありません。アメリカ政府は以前から、安全保障上の懸念を理由にファーウェイ製品の排除を同盟国に強く求めてきましたが、英国はその対応に慎重な姿勢を崩していません。
今回の先送りの背景には、トランプ政権が米企業によるファーウェイへの一部販売を認める方針を示すなど、米中間のパワーバランスが複雑に変化している状況が挙げられるでしょう。英国政府としては、米国による規制が具体的にどのような影響を及ぼすのかを精査する必要があると判断したようです。SNS上では「米国の顔色を伺いすぎではないか」「通信コストへの影響が心配」といった、不安と期待が入り混じった声が数多く寄せられています。
揺れる英国の決断と次期政権に課された重い宿題
私は、今回の延期は単なる時間稼ぎではなく、英国が「デジタル主権」を守るための苦渋の選択であると考えています。ファーウェイの技術はコストパフォーマンスが極めて高く、同社を完全に排除すれば英国の5G整備は数年単位で遅れ、莫大な経済損失を招く恐れがあるからです。しかし、同盟国である米国との関係悪化も無視できず、まさに板挟みの状態にあるのが実情と言えるでしょう。
2019年07月23日現在の情勢を見る限り、この問題は技術論を超えた政治的な駆け引きの象徴となっています。まもなく誕生する新首相は、国家の安全保障と経済成長という、相反する可能性を孕んだ難題に対して、明確なビジョンを示すことが求められています。世界中の投資家や技術者たちが、霧の都から発信される次のメッセージを固唾を飲んで見守っていることは間違いありません。
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