2019年06月09日に発表された調査結果は、多くの企業にとって無視できない現実を突きつけています。それは、入社から3年以内の若手社会人の約8割が、「入社前のイメージと現実がかけ離れている」と感じているという衝撃的な事実です。採用市場が売り手市場と呼ばれる学生優位の状況にある中で、企業は優秀な人材を確保しようと、ついポジティブな情報発信に力を入れがちでしょう。しかし、その結果生じるイメージと実態の大きな落差こそが、早期離職の大きな要因となっている可能性が高いと考えられます。
この調査は、人材サービス大手であるパーソルホールディングスの子会社、パーソル総合研究所とパーソルキャリアが共同で実施したものです。2019年02月22日から2019年02月25日にかけてインターネットを通じて、入社3年以内の大卒社会人600名と、入社3年以内に離職した200名を対象に尋ねたところ、実に76.6%もの人々が、入社前後のギャップ、すなわちリアリティ・ショックを感じていると回答しました。この数字は、新卒採用におけるミスマッチが深刻化している現状を示していると言えるでしょう。
具体的なギャップの内容を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「給料・報酬の高さ」で37.4%に上りました。求人票には初任給などの給与水準が記載されていても、それが基本給だけでなく各種手当を含んだ金額である場合も少なくありません。パーソル総研の小林祐児氏も指摘しているように、業績に左右される賞与や、税金などが差し引かれた「手取り額」が分かりにくいため、入社後に想定よりも少ないと感じ、がっかりしてしまうケースが多いようです。お金に関する期待とのずれは、生活に直結するため、不満も大きくなりがちでしょう。
また、金銭面だけでなく、仕事の内容に関する不満も顕著に見受けられます。具体的には、「仕事で与えられる裁量の程度」が31.5%、「仕事から得られる達成感」が31.3%、「仕事のやりがい」が30.0%と、約3割の若手がイメージと異なる実態に直面しています。最近はインターンシップを通じて企業を知る機会が増えているとはいえ、数日や数週間の限られた時間の中で、入社後のリアルな仕事の責任や深さを完全に把握するのは難しいのが実情です。ここには、企業側の情報提供の方法にも改善の余地があるのではないでしょうか。
この調査結果を受けてSNSでも、「あるある」「私もそうだった」といった共感の声が多く見られます。「残業代や福利厚生込みの給与に驚いた」という声や、「想像以上に雑用が多い」「責任ある仕事はまだまだ先だった」といった、仕事の裁量や内容へのギャップに関するコメントが目立ちます。多くの若手社会人が、夢と希望をもって入社したにもかかわらず、冷厳な現実に直面していることが伺えます。
私自身の意見としては、若手人材の定着には、企業が採用活動において「ありのままの姿」を伝える誠実さが不可欠だと考えます。良い面だけを強調するのではなく、仕事の厳しさや、給与体系の内訳、入社後のキャリアステップなどを、より具体的に、透明性の高い方法で開示していくべきでしょう。採用活動の目的は、単に入社してもらうことではなく、長く活躍してもらうことにあるはずです。この「リアリティ・ショック」を乗り越え、若手人材が輝ける職場を共に築いていくことが、これからの企業には求められていると言えるでしょう。
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