米中貿易摩擦に新火種!猛毒の合成麻薬「フェンタニル」密輸疑惑とトランプ政権の深層

世界を揺るがす米中貿易戦争が、ついに「麻薬」という極めて深刻な領域へと足を踏み入れました。2019年09月18日現在、ドナルド・トランプ米大統領は、米国で中毒死者が急増している合成麻薬「フェンタニル」について、その主要な密輸元が中国であると激しく非難しています。これに対し、中国側は「事実無根である」と真っ向から反論しており、両国の溝は深まる一方です。

この対立の背景にある「フェンタニル」とは、医療現場でがん患者などの痛み緩和に用いられる「オピオイド(医療用鎮痛剤)」の一種です。モルヒネの数十倍から百倍近い強力な鎮痛作用を持つ一方で、依存性が極めて高く、過剰摂取は死に直結します。SNS上でも「これほど恐ろしい薬物が身近にあるのか」といった驚きや、社会の荒廃を危惧する声が、米国内を中心に大きな広がりを見せています。

米疾病対策センター(CDC)のデータによれば、2017年には薬物の過剰摂取による死亡者が約2万9千人に達し、わずか4年前の9倍という驚愕の数字を記録しました。かつてのロックスター、プリンス氏もこの薬物の犠牲になったことで知られています。現在、米国内では処方薬の規制が強化されていますが、その隙を突くようにして、中国を起点とした違法なルートでの流入が加速しているのです。

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闇に潜む密輸の実態と「ダークウェブ」の脅威

密輸の手口は年々巧妙化しており、もはや従来の想像を絶するレベルに達しています。例えば、上海在住の親子が35カ国語のウェブサイトを駆使し、仮想通貨「ビットコイン」で決済を行っていた事例が発覚しました。また、「ダークウェブ」と呼ばれる、通常のブラウザでは閲覧できない匿名性の高い特殊な通信ネットワークを通じて、中国から米国内の組織へ薬物が運ばれるケースも後を絶ちません。

2019年07月末までの会計年度において、米当局が押収したフェンタニルの量は約2100ポンドに達し、これは全米人口を死に至らしめることが可能な分量だと言われています。これに対し、中国の国家禁毒委員会は2019年09月03日の会見で、自国の規制強化により密輸事例は見つかっていないと主張しました。貿易交渉の「カード」としてこの問題を利用する米国への不快感をあらわにしています。

中国で製造が続く背景には、医薬品の製造規制が緩いことに加え、圧倒的な利益率の高さがあります。わずか3千ドルの投資で150万ドルの利益を生むとされるこのビジネスは、密輸業者にとって抗いがたい魅力なのでしょう。専門家は、特定の国からの流入を止めても、業者は常に法の網をかいくぐる新たな手段を見つけ出すと指摘しており、水際対策の限界が露呈している形です。

ラストベルトの悲劇とトランプ氏の政治的思惑

この問題が政治的に複雑化しているのは、トランプ氏の支持基盤である「ラストベルト(さびた工業地帯)」の現状が深く関わっているからです。中国への工場移転によって雇用を失った人々が、絶望から薬物に依存するという悪循環がこの地域を蝕んでいます。2019年現在のオハイオ州などの激戦州では、経済再生と薬物対策は切り離せないセットとして、住民の切実な願いとなっているのです。

米国内では、薬物蔓延の責任を問われた製薬会社パーデュー・ファーマが2019年09月15日に連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請するなど、大きな転換点を迎えています。しかし、トランプ氏はあくまで外部の敵としての中国を叩く姿勢を崩しません。自身の兄をアルコール中毒で亡くしたという個人的な背景も、この問題に対する彼の執念を後押ししているのでしょう。

私自身の見解を述べさせていただくなら、このフェンタニル問題は単なる外交の駆け引きを超えた、人命に関わる「公衆衛生の危機」です。これを貿易交渉の妥協を引き出すための材料として過度に利用すれば、かえって建設的な解決の道は遠のくでしょう。2019年10月に控える閣僚級協議において、この難題が交渉をさらに混迷させ、世界経済に新たな影を落とすことは避けられそうにありません。

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