2019年6月14日、サッカー女子ワールドカップ(W杯)フランス大会の熱戦が繰り広げられる中、レンヌの地で「なでしこジャパン」が躍動しました。1次リーグD組の第2戦でスコットランド代表と対戦し、2対1で見事に今大会初勝利を収めたのです。この結果、日本は1勝1分けの勝ち点4でD組の2位に浮上し、決勝トーナメント進出へ大きく前進しました。初戦のアルゼンチン戦をスコアレスドローで終え、やや停滞ムードが漂っていたチームにとって、待ちに待った「覚醒」の瞬間だったと言えるでしょう。
この勝利の口火を切ったのは、背番号8を背負う岩渕真奈選手の強烈な先制ゴールでした。前半23分、彼女が右足を豪快に振り抜いたシュートは、まるで「ズドン」という筒音が聞こえるかのような、凄まじい勢いでネットを揺らしたのです。岩渕選手自身も「みんなの気持ちがうまく乗って、いい感じで飛んでいってくれた」と語るこの一撃は、チーム全体に漂っていた不安や、彼女自身が抱えていたうっ憤をまとめて吹き飛ばすほどのインパクトがありました。この待望の今大会初ゴールが、日本の攻撃に確かなリズムと勢いをもたらしたことは間違いありません。
岩渕選手は、このゴールで右足を振り抜くこと自体、久しぶりだったといいます。もともと何度も痛めている右ひざを5月の国内リーグで再び負傷し、約1カ月間の調整期間を経て、初戦のアルゼンチン戦でようやく戦列に復帰したばかりでした。「打ったら痛みが出ちゃう部分がけっこうあった。シュート練習も、もどかしさしかない中でやっていた」という苦しい状況だったのです。しかし、スコットランド戦で先発を任されたのは、彼女がチームの攻撃の「スイッチを入れる」キーマンとして期待されていたからにほかなりません。
その期待に応えるように、岩渕選手は最前線に立つフォワードの菅沢選手からやや後方のスペースを見つけては、巧みにボールを引き出しました。彼女の代名詞とも言える自在なドリブルと、テンポの良いワンタッチパスが攻撃のタクトを振ります。この岩渕選手の働きに、菅沢選手は「相手の守備ラインとボランチ(守備的なミッドフィールダー)の間が空いていて、うまく(岩渕)真奈たちが関わってくれたので、孤立せずにいい距離感でテンポ良く回せた」と感謝の言葉を述べています。チームの攻撃が機能し始めたのは、まさに彼女を中心としたパス回しがスムーズになったからでしょう。
周囲には、自身のゴールを小粋な股抜きパスでアシストした19歳の遠藤選手や、途中出場から流れを変えた21歳の小林選手など、フレッシュな若手アタッカーが多くいます。岩渕選手自身、18歳でW杯初優勝を経験した2011年大会や前回の大会では「切り札」的な起用が多かったものの、今大会ではフル稼働でチームを導くべき「大黒柱」としての役割を担っているのです。幸い、この豪快な先制シュートを放った後も、右ひざの痛みは再発しませんでした。彼女は「これで勢いに乗りたいけれど、今はホッとしているの一言に尽きるかな」と、ようやく自分自身もチームも歯車が回りだしたことへの安堵を滲ませています。この精神的な余裕が、今後の戦いに必ず活きてくると私は確信しています。
SNSでの熱狂と日本戦の戦況詳細
このなでしこジャパンの初勝利に対し、SNSでは「なでしこ、ようやくエンジンかかった!」「岩渕真奈のシュートは痺れた!」「遠藤選手の股抜きパス、天才的」といった称賛の声が溢れかえりました。多くのファンが、チームの持つ潜在能力がようやく引き出されたことに喜びを感じている様子が伝わってきます。また、若手選手たちが伸び伸びとプレーしている姿も、未来への期待を高める要因となっているでしょう。
改めて試合の詳細を見てみましょう。得点経過は、前半23分の岩渕選手のゴールに続き、前半37分にはフォワードの菅沢選手がペナルティーキック(PK)を冷静に決めて追加点を挙げました。PKとは、ペナルティーエリアと呼ばれるゴール前の限られた守備区域内で、反則があった場合に与えられるゴールとキーパーの一対一のチャンスのことです。これにより、日本は2対0とリードを広げました。スコットランドは試合終盤の後半88分にクレランド選手が1点を返しましたが、反撃はそこまで。日本が2対1で逃げ切り、勝ち点3を獲得しました。この勢いをそのままに、なでしこジャパンには次の試合でも世界を驚かせるようなプレーを見せてほしいものです。
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