世界中の人々を繋ぐSNSの巨人が、金融の世界でも革命を起こそうとしています。米フェイスブックが主導するデジタル通貨「リブラ」の構想が、今まさに大きな岐路に立たされているようです。2019年10月23日に開催されたアメリカ議会の公聴会において、マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、この野心的なプロジェクトの行方を左右する極めて重要な発言を行いました。
ザッカーバーグ氏は、リブラの事業を開始するための絶対的な条件として「アメリカ当局の承認」を得ることを明言したのです。2019年6月に華々しく発表されたこの構想ですが、金融システムへの悪影響やマネーロンダリング(資金洗浄)への懸念から、各国の規制当局や議員たちから厳しい批判の矢が向けられてきました。マネーロンダリングとは、犯罪で得た「汚れたお金」を転々とさせて出所を隠す行為を指し、これを防ぐことは国際社会の至上命題です。
SNS上では「銀行口座を持てない人々を救う革新的な一歩だ」と期待する声がある一方で、「個人情報の管理に不安がある企業に、お金の管理まで任せられない」といった厳しい意見も噴出しています。リブラが実現するためには、厳しい規制への対応はもちろんのこと、運営組織の独立性の確保、そして徹底したプライバシーの保護という「3つの高い壁」を乗り越えなければなりません。
金融の未来を担うリブラが直面する信頼の欠如
ザッカーバーグ氏は2019年10月23日の公聴会で、「米当局の承認が得られない限り、世界のいかなる地域においてもサービスを開始しない」という踏み込んだ姿勢を見せました。これは、強引にプロジェクトを推し進めるのではなく、まずは公的な信頼を得ることを優先する戦略への転換とも言えるでしょう。デジタル通貨が普及すれば、送金コストの劇的な低下が見込まれますが、それは同時に国家の通貨主権を脅かす可能性も秘めています。
個人的な見解を述べさせていただきますと、リブラのような既存の枠組みを超えた挑戦には、痛みや摩擦が伴うのは当然のことだと感じます。しかし、ユーザーのプライバシーを保護しつつ、透明性の高いガバナンスを構築できるかどうかが、単なる「企業の都合」を超えて社会のインフラになれるかの分かれ道になるはずです。2019年10月25日現在、リブラの航海はまだ始まったばかりですが、その前途には荒波が待ち構えているに違いありません。
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