「不正会計分析官」という異名を持つ、会計評論家の細野祐二さん(65)をご存知でしょうか。かつては四大監査法人の一つであるKPMG日本オフィスでパートナーを務めたエリート公認会計士でしたが、2004年に新興企業の粉飾決算に関与したとして逮捕・起訴されるという、壮絶な過去を背負っています。2010年に最高裁で有罪が確定したものの、現在も自身の適正さを信じる細野さんは、その怒りと情熱を「真実を暴くこと」へと注いでいるのです。
細野さんは、自ら開発した会計不正分析ソフト「フロードシューター(粉飾発見器)」を駆使し、2018年から毎月100社もの企業決算を独自に解析されています。これまでに日本の上場企業約3,600社のうち、2,000社の分析を完了させました。驚くべきことに、ソフトが「危険」や「要警戒」と判定した企業は約100社にものぼり、その予見が的中して経営戦略の変更を余儀なくされたケースも現実に発生しているというから驚きを隠せません。
SNS上では、この活動に対して「一人の力で市場の歪みを正そうとする姿が凄まじい」「既存の監査システムが機能していないことの証明だ」といった驚嘆の声が多く上がっています。企業が提出する「有価証券報告書」という公式書類から、見落とされがちな不審点を抽出するその手腕は、まさにプロ中のプロと言えるでしょう。これこそが、かつて「粉飾をした会計士」という汚名を着せられた彼がたどり着いた、意地の証明なのかもしれません。
監査法人の限界と「勝手分析」が切り拓く日本の未来
本来、企業の不正をチェックすべきはずの監査法人がなぜ機能しないのでしょうか。細野さんは、監査法人が企業から受け取る「監査報酬」という対価にその原因があると指摘されています。大企業ともなれば、その報酬は数億から数十億円という巨額なものになります。報酬を支払う側である企業に対して、不都合な真実を突きつけることは生活を賭けたリスクを伴うため、不審な兆候があっても沈黙してしまう構造的な弱点が存在しているのです。
ここで言う「監査法人」とは、独立した立場で企業の財務諸表をチェックし、その正当性を証明する専門家集団のことです。しかし、そこには常に「クライアント」と「監査人」という利害関係が生じてしまいます。細野さんは現在、企業から1円の報酬も受け取らず、公認会計士という肩書きからも自由な立場で活動されています。権威に寄りかからないからこそ、忖度のない鋭い分析が可能となり、本来あるべき「まっとうな監査」を市民の手に取り戻そうとしているのです。
これまでの実績も目覚ましく、旧日興コーディアル証券やライブドアが駆使したテクニカルな会計手法、さらには東芝の不正会計の背景にある資金繰りの悪化までも鋭く見抜いてきました。かつてエリートの階段から転落した経験を糧に、民間の力で資本市場の健全性を高めようとする細野さんの試みは、閉鎖的な日本の会計界に大きな風穴を開けるはずです。一人の開拓者が志すこの「正義の輪」が、より多くの投資家や市民に広がることを期待せずにはいられません。
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