日本たばこ産業(JT)が、加熱式タバコ市場でのシェア奪還に向けて驚きの勝負に出ました。2019年11月22日、JTは主力デバイスである「プルーム・エス」の本体価格を、同年12月1日より現在の約半額へと大幅に引き下げることを発表したのです。これまで7980円だった希望小売価格が、一気に3480円という戦略的なプライスへと生まれ変わります。
このニュースに対し、SNS上では「ついに本気を出してきたか」「この価格ならサブ機として試してみたい」といった期待の声が数多く上がっています。一方で、既存ユーザーからは「もう少し早く下げてほしかった」という戸惑いの声も見受けられますが、全体としてはこの大胆な値下げが好意的に受け止められている印象です。編集部としても、この価格設定は非常に攻撃的だと感じています。
熾烈を極める加熱式タバコ市場の現状
現在、国内のタバコ市場は大きな転換期を迎えています。JTは紙巻きたばこにおいて約6割という圧倒的なシェアを誇る絶対王者ですが、加熱式タバコの分野では苦戦を強いられているのが実情です。先行するフィリップ・モリス・インターナショナルの「アイコス」が市場を牽引し、ブリティッシュ・アメリカン・タバコの「グロー」がそれを追う展開となっています。
JTの「プルーム」シリーズのシェアは現状1割程度に留まっており、今回の値下げはまさに背水の陣とも言える戦略でしょう。ライバル機である「アイコス 3 デュオ」が9980円、「グロー・プロ」が4980円であることを考えると、3480円という新価格は競合他社の最新モデルを大きく下回る設定です。本体での利益を削ってでも、まずはユーザーの手に取ってもらうことを優先した格好です。
「吸い応え」の課題を克服したプルーム・エスの真価
かつてJTが投入した「プルーム・テック」は、加熱温度が30度という低温設計でした。これは「においが少ない」という利点がある反面、タバコ葉を高温で熱する他社製品に比べると、ガツンとくる「吸い応え」が弱いというトレードオフの関係にありました。専門的に言えば、ニコチンの気化効率やキック感において、紙巻きユーザーを満足させるには一歩及ばなかったのです。
しかし、今回値下げされる「プルーム・エス」は加熱温度を200度に設定し、その課題を見事に克服しています。紙巻きたばこの需要が減少の一途をたどる中、2019年1月から9月期のJTの販売本数は前年同期比で1割も減少しました。国内販売総数の2割を占めるまでになった加熱式市場において、このデバイスはJTにとって反転攻勢の鍵を握る重要な存在なのです。
私個人の見解としては、タバコデバイスもプリンター商法のように「本体を安く普及させ、消耗品のリフィルで稼ぐ」ビジネスモデルへ完全に移行したのだと感じます。2019年の販売計画を下方修正せざるを得なかったJTにとって、この12月の値下げは年末商戦に向けた最後の切り札になるでしょう。王者のプライドをかけたこの挑戦が、市場をどう変えるのか注目です。
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