🇯🇵紙の常識を覆す!伝統技術が香港を魅了した「マテリアル・イン・タイム」展の挑戦と未来:和紙・伝統技術・デザインの融合

日本の誇るべき伝統技術や素材に焦点を当て、それを製品化したものを香港から世界へ発信する試み、「マテリアル・イン・タイム」展が、2019年4月に東京・表参道での「凱旋」展示会を開催し、大きな注目を集めています。初回テーマとして選ばれたのは、日本人にとって最も身近な素材である「紙」でした。この展覧会は、単なるデザイン発表の場に留まらず、海外の視点に触れることで、日本の優れた製品に新たな商業的展開の可能性を見出すきっかけを提供しているのです。

展示品の中には、一見すると金属のように見えるイヤリング「ikue」があります。これは、プロダクトとグラフィックのデザイナーユニットである「タントインク」が手掛けたもので、その正体は繊細な「紙」です。極小の本を作るように紙を束ね、聖書の小口(切り口)を金箔で装飾する伝統技術「三方金(さんぽうきん)」という高度な手法で仕上げられています。伝統的な技術が、現代の感性によって全く新しいアクセサリーへと昇華されている点は、日本のクリエイティビティの奥深さを示していると言えるでしょう。

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💡紙の可能性を広げるテクノロジーと職人技の融合

他にも、紙の新たな可能性を示す革新的な製品が多数披露されました。プロダクトデザイナーの岡室健さんが開発した「ボックス型ライト」は、段ボール箱の上で文字やイラストが光の粒として浮かび上がるデザインが特徴です。これは、電気を通す特殊なインク「導電性インク」を通じて発光ダイオード(LED)を点灯させる仕組みを採用しており、箱の開け閉めによって光がオン・オフするギミックが来場者の関心を惹きつけていました。

また、デザイナーユニットの「ブルーム」は、硬質な紙製プロダクトとしてバスケットを製作しました。これは、段ボールや板紙を複数枚貼り合わせ、強度を高める「貼合(てんごう)」という加工技術を駆使し、合紙を型抜きした細い輪や半円のパーツを組み立てて立体的な容器に仕上げたものです。古来から伝わる和紙だけでなく、竹製紙のメモパッド、石川県の伝統和紙「二俣和紙」を使ったアクセサリー、そして染めに使用する型紙で作られた照明など、多様な伝統的手法が現代的な製品に息づいている様子は、圧巻の一言に尽きるでしょう。

この展示会を企画したデザイナーの秋山かおりさんは、ご自身が運営する「スタジオ・バイ・カラー」でプロダクトの研究開発に携わっています。秋山さんは「日本人は障子やふすま、扇子といった生活のあらゆる場面で紙を活かしてきた歴史があり、日本人の持つクリエイティビティ(創造性)を表現するうえで紙は最良の素材です」と、紙への熱い思いを語っていらっしゃいます。

🌍香港での成功が東京へ凱旋、ビジネス視点を取り入れた展示会モデル

この企画は、香港の若いデザイナーの活動を支援するクリエイティブ施設「PMQ」からの声かけにより、2017年11月から始動しました。中国主催のデザインコンペで受賞歴を持つ秋山さんは、2018年9月に香港で開催された第1回「マテリアル・イン・タイム」のテーマとして、技術力の高い日本の「紙」を選択されました。この香港展には、日本企業12社とデザイナー6組が参加し、新製品やアイデアを披露しています。

大手オフィス家具メーカーでデザイン製品のビジネスに携わった経験を持つ秋山さんは、「単なるデザインの発表会ではなく、テストマーケティング(市場調査)の場として活用してほしい」という考えに基づき、参加企業には、たとえ少量でもその場で販売できる製品の展示を求めました。このアプローチによって、企業は製品を直接顧客に販売し、その場で得られた顧客の生の声に耳を傾け、製品の改良点を見つける貴重な機会を得ることができたのです。

📣SNSでの反響とビジネスチャンスの発見

特に注目を集めた製品の一つが、兵庫県淡路島のお香メーカー、薫寿堂が発表した「HAKO」です。これは木の葉をモチーフにしたお香で、和紙を立体的に造形し、お香の香りを染み込ませています。特許を取得した紙で作られており、火をつけると香りと共に燃えていく形の変化も楽しむことができる趣深い製品です。もともとは一般消費者向けに少量生産されていましたが、香港の大手ホテルから関心が寄せられたことで、企業向け(BtoB)の新たな需要を発見し、生産体制を大幅に見直すきっかけとなりました。

この香港展が開催された際、SNS上では「#マテリアルインタイム」や「#紙製品」といったハッシュタグと共に、その革新的なデザインや日本の伝統技術への驚きと称賛の声が多数投稿されていました。特に「HAKO」のような、実用性とアート性を兼ね備えた製品に対する反響は大きく、「日本人の繊細な感性が凝縮されている」といった意見が多く見られたようです。

秋山さんは、「日本市場での成功が海外展開の前提と考える企業もありますが、海外の展示会で外国人の目に触れることで、日本人が気づかない製品の魅力が発掘されることもあります」と指摘されています。そのうえで、仏具やお香、和紙といった文化が共通するアジア圏での発信は、ミラノやドイツなど欧州圏とは異なる独自の商機が見出せるという考えを示しています。2019年4月に東京で開催された展示会の初日から、海外向けのオンラインショップも開設されており、そのビジネス展開は一層加速するでしょう。

香港展での高い評価を受け、「マテリアル・イン・タイム」は2019年12月に第2回開催が決定しています。次回のテーマは「金属」です。銅、すず、ステンレスなどの日本の技術が、どのように現代のプロダクトとして昇華されるのか、今から期待が高まります。私は、日本の伝統素材と高度な職人技術が、柔軟な発想を持つデザイナーのクリエイティビティと融合することで、世界に通用する「一品(いっぴん)」へと進化を遂げるこの取り組みは、日本のものづくりがグローバル市場で躍進するための、新たな成功モデルになると確信しています。

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