【JT株価低迷の深層】加熱式たばこ強化でも市場は冷淡?規制とイラン情勢が招く「たばこ株」受難の時代

2019年6月27日、東京株式市場で日本たばこ産業(JT)の株価が一時、前日比34円安となる2,389円をつけ、年初来安値を更新する事態となりました。前日の26日が中間配当の権利落ち日だったことに加え、米国との対立が深まるイランでのたばこ事業の将来に対する不安がくすぶり続けていることも、株価低迷の背景にあると見られています。終値は12円50銭安の2,410円50銭で取引を終えましたが、市場の厳しい目が感じられる結果になったと言えるでしょう。

国内では、JTは加熱式たばこのラインナップ強化に力を入れています。特に「プルーム・テック・プラス」など、多様なニーズに応える製品群を2019年6月中旬から拡充しました。しかし、この販売強化策に対し、市場の反応は鈍い状況が続いているのです。野村証券の藤原悟史氏は、「競合他社の顧客を積極的に引き込めるような、決定打となる材料がなかなか見当たらない」との見方を示しており、その期待の薄さが株価の重荷となっているようです。

そもそも、たばこ産業全体が構造的な逆風にさらされています。マネックス証券の益嶋裕氏が指摘するように、たばこ産業は先進国を中心に規制が特に厳しい業種であり、近年高まるESG投資の流れにおいて、投資資金が集まりにくい傾向があります。ここで言うESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の要素を重視して企業を評価し、投資を行う手法のことで、たばこ事業のように社会的な負の側面が指摘される分野は敬遠されがちなのです。このネガティブな潮流が、JTの株価にも暗い影を落としていると私は考えます。

実際、2019年の年初からJT株が約8%下落しているのに対し、競合であるフィリップモリス株が1割以上の上昇を見せていることからも、JTの低迷が際立っていることが分かります。国内市場においては、2022年まで継続的にたばこ税などの引き上げが予定されており、これが国内収益の重荷となっている状況です。増税によって消費者のたばこ離れが加速する懸念は無視できないでしょう。

スポンサーリンク

国際事業の好調と地政学リスクの狭間で

一方で、イラン事業は足元の業績自体は好調に推移しています。2015年に買収したアリヤン社などが、現地のたばこ市場でシェアを拡大しており、為替の影響を除くと単価も上昇しているとのこと。この海外事業の成長は、国内の逆風を和らげる要因の一つであるのは間違いありません。しかし、この好調さとは裏腹に、米国によるイランへの経済制裁強化に対する懸念が根強く残っています。国際情勢の不安定さは、ビジネスの先行きを見通す上で、非常に大きなリスク要因となるでしょう。

これらの懸念材料が重なり合う状況が長期化することで、JTの株価は当面、上値の重い展開が続く可能性が高いと見られています。SNSなどでの反響を見ても、「高配当だけど、この先どうなるか不安で買いづらい」「加熱式たばこの競争で、プルームは少し出遅れた印象だ」といった、事業の将来性や競争優位性に対する厳しい意見が目立ちます。投資家心理は冷え込んでおり、革新的な新材料や地政学リスクの緩和がない限り、この状況を打破するのは難しいと推察されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました