中古車市場に、今まさに大きな地殻変動が起きています。日本中古自動車販売協会連合会、通称「JU中販連」が発表したデータによると、2019年10月における業者向けオークションの平均落札価格は、1台あたり25万9000円となりました。これは前年同月と比較すると9.9%もの大幅な落ち込みであり、下落傾向はなんと11カ月も続いています。
業界大手のユー・エス・エス(USS)が扱う成約単価も、10月は前年より3.3%低い68万4000円を記録しました。10月1日の消費税増税を前にした「駆け込み需要」で一時は価格が持ち直す局面もありましたが、増税後はその勢いも完全に沈静化しています。SNS上では「車を買い替えるなら今がチャンスかもしれない」といったユーザーの声がある一方で、市場の冷え込みを不安視する意見も目立ちます。
輸出不振が招く相場の「冬の時代」とその背景
今回の相場下落に拍車をかけている最大の要因は、日本が誇る中古車の海外輸出が振るわないことにあります。特にアジアの新興国向けが苦戦しており、これが市場全体の価格を押し下げる「重石」となっているのです。中古車オークションとは、全国の販売店が在庫を売買するセリを指しますが、海外からの買い手が減れば、当然ながら価格競争は弱まってしまいます。
かつて、スリランカやパキスタンといった国々は、100万円を超えるような高単価な車両を積極的に輸入してくれる「上客」でした。しかし、これらの国々では現在、輸入制限や厳しい規制が敷かれており、日本からの輸出台数は極めて少ない状況にあります。高価格帯の車両が海外へ流れなくなったことで、国内の平均落札価格が引き下げられる結果を招いているのでしょう。
編集者の視点から見れば、この状況は単なる一時的な落ち込みではなく、国際情勢に左右される中古車ビジネスの脆さを浮き彫りにしたと言えます。国内の増税による消費マインドの低下と、主要な輸出先での規制強化という「ダブルパンチ」は、日本の車社会に深刻な影響を及ぼしかねません。今後の市場回復には、新興国での規制緩和や、国内での新たな需要喚起が不可欠となるはずです。
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