ホルムズ海峡の安全保障が迷走?多発する攻撃と「有志連合」の足並みが揃わない深刻な理由

世界のエネルギー供給を支える生命線、ホルムズ海峡がかつてない緊張に包まれています。2019年5月から6月にかけて発生した石油タンカーへの破壊工作は、世界中に大きな衝撃を与えました。これを受けて2019年11月、米国主導の「有志連合」が正式に発足したものの、その歩みは決して順風満帆とは言えません。SNSでは「ガソリン代が上がるのでは?」といった生活への直結を不安視する声や、「日本はどう動くべきか」という慎重な議論が飛び交っています。

2019年11月22日から2019年11月24日にかけてバーレーンで開催された国際会議「マナマ対話」では、この海域の安全確保が最大の争点となりました。米中央軍のマッケンジー司令官は、タンカーへの攻撃が保険料の高騰を招き、世界経済全体に悪影響を及ぼしている現状を厳しく指摘しています。中東の海の安全は、もはや特定国だけの問題ではなく、世界共通の利益である「公共財」としての側面が強調された形です。

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乱立する安全保障構想と欧州の冷ややかな視線

しかし、米国の呼びかけに応じたのは英国やサウジアラビア、オーストラリアなど一部の国々に留まっています。フランスのパルリ国防相は、米国のイランに対する「最大限の圧力」という強硬な姿勢とは距離を置く姿勢を明確に打ち出しました。これは特定の国を追い詰めるのではなく、独自のルートで貢献を目指すという欧州の意志の表れでしょう。一方で当事者であるイランも、自国を包囲する動きに反発し、「HOPE」という独自の構想を掲げて対抗しています。

ここで注目すべきは、かつて中東の番人であった米国の影響力の変化です。「シェール革命」によって自国でのエネルギー生産が可能になった米国は、以前ほど中東の資源に依存しなくなりました。この構造的な変化が、中東情勢への関与を希薄にさせているのではないかという懸念が広がっています。フランス側からは、タンカーや石油施設への攻撃に対して十分な抑止力が働いていない現状に対し、強い危機感が示されているのが印象的です。

日本政府も非常に難しい立場に立たされています。2019年11月現在、河野太郎防衛相は国際秩序の維持に全力を尽くす考えを示しつつ、米国とイランの双方に配慮した独自の自衛隊派遣を検討しています。エネルギーの大半を中東に頼るアジア諸国にとって、この海域の混乱は部品供給網(サプライチェーン)の寸断という致命的なリスクを孕んでいます。誰もが安全を願いながら、その責任を誰が負うのかという答えは、依然として霧の中にあります。

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