ネスレ名誉会長が語る「食の未来」!ミレニアル世代が熱視線を送る、地球と体を守る新常識

2019年10月28日から29日にかけて、東京で「激動を味方にするリーダー像」をテーマに第21回日経フォーラム「世界経営者会議」が開催されました。この会議の壇上で、世界最大の食品グループを率いてきたネスレの名誉会長、ピーター・ブラベック・レッツマット氏は、現代の食品業界が直面している大きな転換点について、極めて鋭い視点を示しています。

現在、消費の主役は1980年代から2000年代に生まれた「ミレニアル世代」へと完全にシフトしました。彼らは単に空腹を満たすためではなく、社会的な意義を重視して食べるものを選ぶ傾向にあります。特に動物性食品を一切排除する「ビーガン」の台頭は、単なる流行を超えた大きな潮流となっており、食品企業にとっては彼らの価値観にどう寄り添うかが生き残りの鍵を握っていると言えるでしょう。

SNS上でも「私たちの食事が地球を壊しているのではないか」という不安の声が広まっており、ミレニアル世代はこの不安を解消する選択肢を求めています。ピーター氏は、彼らが「体の健康」と同じくらい「地球の健康」を重視していると分析しています。持続可能な環境を守るための具体的な行動として、今まさに「脱ミート(代替肉)」への関心が世界中で爆発的に高まっているのです。

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水資源とCO2を守る「脱ミート」の衝撃

なぜ今、これほどまでに代替肉が注目されるのでしょうか。ピーター氏が指摘するのは、肉の生産が環境に与える莫大な負荷です。食肉の生産には膨大な水資源が必要とされるだけでなく、植物がCO2を吸収するのに対し、家畜の飼育プロセスは大量のCO2を排出します。つまり、肉を食べるという行為が地球温暖化に直結するという事実が、環境意識の高い若者たちの行動を変えているのです。

さらに海洋資源についても、乱獲による生態系の崩壊が深刻な問題となっています。ピーター氏は、養殖をはじめとした最新技術の活用が不可欠であると強調しました。一方で「食べる喜び」を犠牲にしたくないという消費者の本音も汲み取らなければなりません。味を損なわずにカロリーを抑えたチョコレートの開発など、嗜好品としての魅力を維持しつつ健康を両立させる技術力が、これからの時代には求められています。

1995年頃を境に、過剰な栄養摂取が寿命の延びに寄与しなくなるという現象が起きています。かつてはエネルギーをいかに確保するかが課題でしたが、現在は「質の高い栄養」をいかに賢く摂取するかが重要です。抗酸化物質やタンパク質の含有量を精緻にコントロールし、消費者のライフスタイルに最適化された食品こそが、次世代のスタンダードになることは間違いありません。

医療崩壊を防ぐ「パーソナライズされた栄養」の未来

また、ピーター氏は持続不可能な医療制度についても警鐘を鳴らしています。特に米国では将来的に年間5兆ドルから10兆ドルもの医療費が投じられると予測されていますが、多額の予算が必ずしも質の高い医療を保証するわけではありません。治療に頼るのではなく、日々の食事によって病を未然に防ぐ「予防」の観点が、国家レベルの課題として浮上しているのです。

これからの食の形は、膨大なデータを活用した「個別の栄養提案」へと進化していくでしょう。地域や世代、個人の体質に合わせて最適な栄養をレコメンドするスタイルは、食品業界の新しいビジネスモデルとなります。私は、食が単なる「商品」から、個人の健康をデザインする「ソリューション」へと変わるこの大きな変革期に、ネスレのような巨人がどう挑むのか非常に期待しています。

ピーター・ブラベック・レッツマット氏は1968年の入社以来、中南米での豊富な経験を経て、世界最大の食品グループのトップに君臨しました。2019年11月18日現在の世界情勢を見ても、激動の時代において彼の掲げる「地球と人間の共生」というビジョンは、すべての経営者が指標とすべき羅針盤です。食の未来は、私たちの意識と最新技術の融合によって、より明るいものへと塗り替えられていくでしょう。

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