日本の経済を牽引する総合商社の中でも、ひときわ力強い歩みを見せているのが三井物産です。2019年11月19日現在、同社が発表した2019年4月から9月期の連結純利益は2341億円に達しました。これは前年の同じ時期と比較して5%の増加となっており、厳しい世界情勢の中でも着実に利益を積み上げている様子が伺えるでしょう。この躍進を力強く支えているのは、同社の得意分野である「資源部門」の目覚ましい活躍に他なりません。
特に注目すべきは、主要な収益源である鉄鉱石の価格が、高い水準で推移し続けている点です。SNS上では「資源価格の変動を味方につける三井物産の強さが際立っている」といった驚きの声も上がっています。年初にブラジルの資源大手ヴァーレ社で発生した鉱山事故の影響により、供給不足への懸念が強まったことが価格を押し上げました。加えて、中国政府による景気刺激策が鉄鋼需要を爆発させ、鉄鉱石は他の資源を圧倒する「独歩高」の様相を呈しています。
三井物産の資源部門は、この上半期だけで約1700億円という驚異的な純利益を叩き出しました。原料炭に依存する三菱商事や、銅・亜鉛などを主力とする住友商事が苦戦を強いられる中で、三井物産の好調ぶりは業界内でも一際目立つ存在です。さらに、東アフリカのモザンビークや北極圏での液化天然ガス(LNG)プロジェクトという超大型案件への出資も決定しており、資源ビジネスにおける同社の地盤は今後ますます盤石なものとなっていくでしょう。
次世代を担う「非資源部門」への挑戦と現在地
しかし、三井物産が真に見据えているのは、資源で得た莫大なキャッシュを「医療・環境・農業」といった非資源分野へ注ぎ込み、新たな収益の柱を育てる多角的な姿です。例えば、2018年にはマレーシアに拠点を置くアジア最大級の民間病院グループ「IHHヘルスケア」へ約2300億円を追加投資し、筆頭株主となりました。このように、病気の予防から治療、予後までを包括的に提供するヘルスケア事業を、次世代の稼ぎ頭として最優先で育成しようとしています。
同社が2017年に掲げた中期経営計画では、2020年3月期までに非資源部門の純利益を2000億円に引き上げるという野心的な目標を設定していました。しかし、2019年上半期の実績は約670億円に留まっており、目標達成に向けては依然として高い壁が立ちはだかっているのが現状です。過去2年間でこれら成長分野に投じた資金は7000億円という巨額にのぼりますが、市場からは「まだ具体的な果実が得られていない」という厳しい指摘も聞こえ始めています。
私個人の視点として、資源ビジネスでの強固な収益基盤がある今こそ、非資源分野での「種まき」を継続する忍耐強さが求められていると感じます。医療や環境といった分野は、投資から回収までに時間がかかる特質を持っています。短期間の数字に一喜一憂せず、どれだけ本気で社会インフラを支える企業へと変革できるかが、三井物産の未来を左右するでしょう。鉄鉱石の追い風が吹いているうちに、次なる成長の芽をどれだけ確実に育てられるかが、最大の焦点となりそうです。
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