世界経済のエンジンとも言えるアジアの二大巨頭、中国とインドの自動車市場に寒風が吹き荒れています。2019年12月11日時点の最新集計によりますと、両国ともに新車販売の落ち込みが止まらない深刻な事態に直面していることが判明しました。中国では17カ月連続、インドでも13カ月連続で前年の実績を下回っており、巨大市場の停滞は世界中の投資家やメーカーに動揺を与えています。
2019年11月の中国市場における新車販売台数は、245万7000台と前年同月比で3.6%の減少を記録しました。特に深刻なのはアメリカ系のメーカーで、ゼネラル・モーターズ(GM)の合弁企業が34.0%減、フォード・モーターも23.1%減と大幅な苦戦を強いられています。SNS上でも「かつての勢いはどこへ行ったのか」「米中対立の影響が実体経済に影を落としている」といった、先行きの不安を訴える声が数多く上がっています。
一方、この逆境下で驚異的な粘りを見せているのが日本勢です。トヨタ自動車は11.4%増、ホンダも2.6%増と、全体が沈む中で着実にシェアを伸ばしています。私は、消費者のマインドが冷え込む時期だからこそ、信頼性の高いブランドや燃費性能に優れた日本車が「賢い選択」として再評価されているのだと感じています。単なる景気の問題だけでなく、ブランドの「地力」が試される厳しい局面にあるのは間違いありません。
中国市場を専門用語で補足すると、現在は「買い控え」のフェーズにあります。これは、将来の収入への不安や、物価上昇によって消費者が高額な買い物を先延ばしにする現象です。特に中国汽車工業協会は、豚肉などの生活必需品の値上がりが家計を圧迫していると分析しています。また、これまで市場を牽引してきた「NEV(新エネルギー車)」、いわゆる電気自動車などの販売も、政府補助金の打ち切りという政策変更の波に飲まれています。
インド市場に見えるかすかな光明と高級SUVの台頭
続いてインドに目を向けると、2019年11月の販売台数は32万5680台で、前年比4%のマイナスとなりました。一見すると厳しい数字ですが、実は10月に実施された大規模な値引きキャンペーンが功を奏し、回復の兆しが見え始めています。ネットでは「今が買い時だ」というユーザーの投稿も散見され、政府による景気浮揚策への期待感が少しずつ市場の温度を上げているような印象を受けます。
注目すべきは、消費の二極化が進んでいる点です。一般的な小型車が苦戦する一方で、多目的スポーツ車(SUV)の販売が33%も急増しています。SUVとは、高い車高と力強い走行性能を備えたレジャー向けの車両を指しますが、所得の高い層の購買意欲は依然として旺盛であることが伺えます。最大手のマルチ・スズキが踏ん張りを見せる中、新規参入の韓国メーカーが躍進するなど、勢力図の塗り替えも加速しています。
編集者としての見解ですが、中国とインドの現状は、単なる一時的な不況ではなく「市場の成熟化」に向けた産みの苦しみではないでしょうか。安ければ売れる時代は終わり、これからは環境性能や所有する喜びといった、付加価値がより厳格に問われる時代に突入しています。2019年末という節目の今、自動車産業はまさに100年に一度の変革期を、アジアの地で体現していると言えるでしょう。
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