三菱重工が断行する「財務の聖域なき改革」!スペースジェット離陸へ向けたROA6%の挑戦

日本のものづくりを象徴する巨艦、三菱重工業が大きな転換点を迎えています。2019年12月11日、同社は事業の継続を判断するための厳格な財務基準を導入することを明らかにしました。その指標こそが「ROA(総資産利益率)6%」と「総資産回転率1倍」です。これは単なる数字の遊びではなく、不採算事業には「撤退」の二文字も辞さないという、経営陣の強い覚悟の表れといえるでしょう。

ここで少し専門的な用語を紐解いてみましょう。「ROA」とは、会社が持っている全ての資産をどれだけ効率的に使って利益を上げたかを示す指標です。一方の「総資産回転率」は、資産に対してどれだけの売上を作れたかを測る物差しとなります。つまり、宝の持ち腐れになっている資産がないかを厳しくチェックし、スリムで筋肉質な経営体質への変革を目指しているのです。

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資産売却で生み出す600億円の軍資金

三菱重工の取り組みは、既に具体的なアクションとして現れています。2019年2月には横浜市の工場を、同年11月には名古屋市の工場の売却を立て続けに発表しました。これらによって手にする現金は600億円を超える見通しです。SNS上では「ついに三菱が本気で資産整理を始めたか」「聖域なき改革だ」といった驚きと期待の声が広がっており、投資家からの注目度も日増しに高まっています。

小口正範副社長は、資産を圧縮することで総資産回転率を改善させることは「それほど難しくない」と冷静に分析しています。しかし、真の課題は回転率が良くても利益が伴わない事業の扱いです。具体的には、かつて巨額の損失を出した造船事業などがその筆頭に挙げられるでしょう。こうした「努力しても報われない」領域にどうメスを入れるかが、今後の再生の鍵を握るはずです。

全ては「スペースジェット」という悲願のために

今回の改革の最大の目的は、三菱重工が社運を賭けて進める「スペースジェット(旧MRJ)」の開発資金を捻出することにあります。現在、このプロジェクトは相次ぐ納期遅延という荒波の中にあり、2020年3月期には800億円規模の費用が発生する見込みです。連結純利益の約4割をこの事業が押し下げているという現状は、巨大企業といえども無視できない重荷となっています。

私自身の見解としては、この決断は「遅すぎた英断」だと感じます。世界を相手にする航空機ビジネスは、天文学的な資金とスピード感が求められる戦場です。他の事業をスリム化してまでリソースを集中させる姿勢は、まさに背水の陣。今回の財務ルールの導入は、スペースジェットを無事に離陸させるための「最後の補給路」を確保する、極めて合理的かつ切実な戦略と言えるのではないでしょうか。

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