日本の空を再び国産機で彩るという壮大な夢を背負った、三菱重工業の民間旅客機「スペースジェット」。2019年11月27日、同社の泉沢清次社長は報道各社の取材に応じ、現在進められている開発スケジュールの見直しについて言及されました。当初は2020年半ばに初号機を納入する予定でしたが、現在はその目標達成に向けた全体像を改めて精査している段階だそうです。
このニュースを受けてSNS上では、「日本の技術力の結晶として頑張ってほしい」という期待の声がある一方で、「度重なる延期で先行きが不安だ」といった厳しい意見も散見されます。開発の大きな壁となっているのが、航空機が安全に空を飛ぶための「型式証明(TC)」の取得です。これは機体の設計や構造が厳格な安全性基準を満たしていることを国が公的に認めるもので、いわば「空の車検」の合格証のような非常に重要なプロセスなのです。
現在は国土交通省からの認可を得るべく、粘り強く作業を継続しているものの、その道のりは決して平坦ではありません。今回もし納入の延期が決定すれば、実に6度目の調整となります。泉沢社長は現時点での明言を避けつつも、慎重に状況を見極めている様子が伺えました。編集者としては、これほど高度な安全性が求められる分野で、安易な妥協を許さない姿勢こそが、将来の信頼に繋がるのだと感じます。
長期的な視点で描く航空機ビジネスの展望
航空機事業は非常に膨大な初期投資が必要となる一方で、その回収には極めて長い歳月を要する特殊なビジネスモデルです。泉沢社長もインタビューの中で、「投資回収には時間がかかるため、ロングレンジ(長期的な視点)で取り組んでいきたい」と、腰を据えて事業を継続していく覚悟を示されました。短期的な収益にとらわれず、次世代の産業の柱を育てようとする強い意志が言葉の端々に滲んでいます。
「スペースジェット」という新たな名称でリスタートを切ったこのプロジェクトは、まさに日本の製造業の誇りをかけた挑戦と言えるでしょう。開発が難航しているという事実は、それだけ世界水準の壁が高いことの証左でもあります。幾多の困難を乗り越えた先に、世界中の空港で日本の翼が躍動する日が来ることを、私たちは静かに、しかし熱い期待を込めて見守り続けるべきではないでしょうか。
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