トウモロコシ相場の勢力図に異変!米国産の減産でも価格が上がらない「南米シフト」の衝撃

世界中の食卓やエネルギー、家畜の飼料を支える「トウモロコシ」の市場がいま、これまでにない奇妙な現象に直面しています。2019年12月11日現在の国際相場を見渡すと、指標となるシカゴ先物価格は1ブッシェル3.7ドル台と、驚くほどの安値圏に留まっているのです。本来であれば価格が跳ね上がってもおかしくない状況ですが、一体市場で何が起きているのでしょうか。

通常、供給が減れば価格は上がるのが経済の鉄則です。米国農務省が発表した2019年から2020年穀物年度の予測では、トウモロコシの「単収」が167ブッシェルと、4年ぶりに170ブッシェルの大台を割り込む見通しとなりました。この単収とは、1エーカー(約4000平方メートル)あたりの収穫量を示す専門用語で、農業の生産効率を測る重要なバロメーターです。

生産量そのものも136億ブッシェルへと落ち込み、米国産トウモロコシは明らかな品不足の兆しを見せています。SNS上では「これだけ不作なら価格高騰は避けられないはずだ」といった予測も飛び交っていましたが、現実のマーケットは驚くほど冷ややかでした。11月の需給報告で供給不足が示唆された後も、価格は10月末より3%ほど下落するという逆転現象が発生したのです。

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主役交代?ブラジルやウクライナが市場を席巻

この不可解な値動きの裏には、世界最大の生産国である米国の影響力が陰りを見せ始めているという衝撃的な事実があります。専門家によれば、米国産トウモロコシに対する需要が極端に弱まっていることが最大の要因です。2019年9月から10月にかけての輸出成約量は1189万トンと、前年の同時期と比較して、なんと半分近くまで激減してしまいました。

米国の不調をあざ笑うかのように台頭しているのが、ブラジルやウクライナといった新興国勢です。特にブラジルの躍進は凄まじく、2019年は過去最高の輸出量を記録する勢いにあります。かつて2019年6月には米国の悪天候による供給不安から価格が一時高騰しましたが、夏場にブラジル産が大量に市場へ流れ込むと、市場の不安はあっという間に解消されてしまいました。

統計を紐解くと、10年前には世界のトウモロコシ輸出の半分以上を米国が占めていました。しかし、2019年から2020年の見通しでは、そのシェアはわずか28%程度まで沈むと予測されています。対照的にブラジルやアルゼンチンは今や市場の4割を握る存在となりました。米国が風邪を引けば世界がくしゃみをした時代は、もはや過去のものになったと言えるでしょう。

こうした市場構造の変化は、単なる一時的な不作以上の意味を持っています。新興国の生産技術向上とインフラ整備が進んだことで、買い手は「米国一択」という依存から脱却しつつあるのです。安価で安定した南米産が供給される現状を鑑みると、米国の減産だけで相場が反転するシナリオは描きにくくなっています。投資家は今、地図を塗り替えるような歴史の転換点を目撃しているのです。

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