アメリカと中国の間で繰り広げられるハイテク覇権争いが、また新たな局面を迎えようとしています。2019年11月26日、米商務省は中国の通信機器最大手であるファーウェイ(華為技術)などを念頭に、米企業による製品調達を厳格に禁じる規制案を発表しました。今回の措置は、これまで存在していた「規制の抜け穴」を徹底的に塞ぐことが目的です。単なる貿易摩擦を超えた、安全保障上の深刻な懸念が背景にあることは間違いありません。
このニュースを受けてSNS上では、「安くて高性能なデバイスが使えなくなるのは困る」というユーザーの困惑の声がある一方で、「サイバー攻撃のリスクを考えれば妥当な判断だ」と支持する意見も多く、議論が二分されています。ロス商務長官は声明の中で、デジタル経済の安全確保こそが最優先事項であると力説しました。トランプ大統領が2019年5月に出した大統領令に基づき、約半年間の検討を経て練り上げられた、非常に重みのある規制案と言えるでしょう。
今回の規制の核心は、商務長官が「外国の敵対勢力」による通信機器が米国の安全保障に脅威を与えると判断した場合、その取引を強制的に停止させられる点にあります。ここで指す「敵対勢力」とは、主に中国やロシアを指しますが、事実上は世界シェアを誇るファーウェイやZTE(中興通訊)をターゲットにしているのは明らかです。もし企業がこれに違反して強行に取引を継続した場合には、多額の罰金が科されるという極めて厳しい内容となっています。
中堅企業も逃げられない?網羅的な規制の正体
これまでもアメリカは、2019年8月に施行された国防権限法などで、政府機関による中国製品の調達を禁じてきました。また、2019年11月22日には米連邦通信委員会(FCC)が、地方の中小通信会社に対して補助金を使ったファーウェイ製品の購入を制限しています。しかし、今回の商務省の新ルールは、補助金を受けていない民間の中堅・大手通信会社までをも対象に含んでおり、文字通り「入り口」を完全に閉ざす形となりました。
ここで注目すべきは、「エンティティー・リスト(EL)」という専門用語です。これは、米国政府が安全保障上の懸念があると判断した企業をリストアップした、いわば「禁輸リスト」のことです。2019年5月にファーウェイがこのリストに登録されたことで、米国製部品の「輸出」が制限されました。今回は逆に、米国側へ中国製品を入れさせない「輸入」の規制を強化するもので、輸出入の両面からファーウェイを包囲する戦略が鮮明になっています。
一方で、米国内のIT業界からは慎重な意見も漏れ聞こえています。政府が明確な基準を示さず、ケース・バイ・ケースで取引の可否を判断するとなれば、ビジネスの予見可能性が失われるためです。実際、2019年7月の調査によれば、米国内の製造業などで数万台規模のファーウェイ製品が稼働しており、これらを一掃するには莫大なコストと時間がかかります。利便性と安全保障の天秤に、多くの企業が揺れているのが実情なのです。
私個人の見解としては、国家間のパワーゲームに民間企業が翻弄される現状には危惧を覚えますが、通信インフラという「現代の生命線」を他国の管理下に置くリスクは看過できないと感じます。2019年11月25日の米中閣僚級電話協議でも一定の進展はあったようですが、香港問題や人権問題も絡み合い、事態は複雑さを増しています。未来の5G社会がどのような形になるのか、今まさに歴史的な分岐点に立っているのです。
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