私たちの生活を影で支える電力供給。そのインフラを維持するために欠かせない送電鉄塔のメンテナンスが、今まさに大きな転換期を迎えようとしています。東北電力は、2019年12月05日に人工知能(AI)を活用して鉄塔のサビや劣化状況を自動で解析する革新的なシステムの運用を開始しました。これは電力業界全体を見渡しても、AIによる劣化診断を実務に導入する初めての画期的な試みとして注目を集めているのです。
今回のシステムは、仙台市に拠点を置くソフトウェア開発会社「SRA東北」との共同開発によって誕生しました。AI、すなわち人工知能とは、コンピュータが大量のデータを学習し、人間のように高度な判断を代行する技術のことです。具体的には、スマートフォンやドローンで撮影した鉄塔の画像をAIが読み取り、金属が酸素や水と反応して発生する「腐食」の進行度を瞬時に4段階で判定してくれます。
これまでの点検作業は、専門の作業員が地上や高所から双眼鏡などを使って直接目で見る「目視点検」が主流でした。しかし、この手法には膨大な時間と体力を要するだけでなく、見る人の経験値や感覚によって劣化の判定にバラツキが生じるという課題を抱えていたのです。SNS上でも「あの高い場所での作業が効率化されるのは安全面でも大きい」「AIなら客観的な基準でサビを見極めてくれそう」といった期待の声が広がっています。
東北電力の試算によれば、このシステム導入による業務効率化の効果は劇的です。これまで管内にある19の電力センターでは、年に一度の補修計画を立てる際、各拠点で約25時間を要していました。それがAIの力を借りることで、わずか4時間程度にまで短縮される見込みだというから驚きです。浮いた時間をより高度な判断や現場の安全管理に充てられることは、企業にとっても社会にとっても大きな価値となるでしょう。
私は、こうした伝統的な産業と最先端テクノロジーの融合こそが、少子高齢化による労働力不足を解決する唯一の道だと確信しています。特に厳しい自然環境下にある東北地方のインフラを守るには、こうした「技術の標準化」が必要不可欠です。職人の経験をAIという形で見える化する今回の取り組みは、単なる効率化を超え、私たちが安定して電気を使い続けられる未来をより確かなものにしてくれるに違いありません。
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