世界を席巻する巨大IT企業、アマゾン・ドット・コムの動きに、イギリスの規制当局が鋭い視線を注いでいます。2019年12月27日、英競争・市場庁(CMA)は、アマゾンによる料理宅配大手「デリバルー」への出資計画について、より詳細な「フェーズ2」の本格調査を開始すると発表しました。この決定は、単なる一企業の投資案件を超え、欧州のプラットフォームビジネス全体を揺るがす大きな関心事となっています。
事の始まりは2019年5月17日に遡ります。デリバルーは、アマゾンを中心とした投資家グループから総額5億7500万ドル、日本円にして約630億円という巨額の資金を調達すると公表しました。この資金力によって、デリバルーは配達技術のさらなる向上やサービスの拡充を目指す方針でした。しかし、この蜜月関係に対し、市場の健全な競争を守る番人であるCMAが「待った」をかけたのです。
CMAが懸念しているのは、この出資によって「競争が実質的に減少する」という点にあります。ここで重要になる「競争阻害」という言葉は、特定の企業が市場で強すぎる力を持ち、ライバル企業が育たなくなることで、最終的にサービスの質が低下したり、価格が高騰したりして消費者が損をすることを指します。当局は、両社からのこれまでの説明では、このリスクを払拭するには不十分であると判断しました。
実はアマゾンにとって、料理宅配は「リベンジ」の場でもあります。同社は2016年からイギリスで独自の宅配サービスを展開していましたが、熾烈な競争に勝てず、わずか2年で撤退した苦い過去があります。そのため、自社での再参入ではなく、既に確固たる地位を築いているデリバルーへの出資という形で、再びこの巨大市場に食い込もうという戦略を描いているのです。
SNS上では、このニュースに対して「アマゾンが支配する世界が広がるのは怖い」といった独占を警戒する声がある一方で、「配達の効率が上がるなら歓迎したい」という利便性を重視する意見も入り混じっています。テック業界の巨人が既存の成功企業を飲み込んでいく構図は、現代のデジタル経済が抱える典型的な課題といえるでしょう。
個人的な見解としては、自由な競争こそがイノベーションの源泉である以上、今回の当局による慎重な姿勢は支持されるべきだと考えます。もしアマゾンの持つ膨大な顧客データとデリバルーの物流網が不当に結びつけば、新規参入の芽を摘んでしまう恐れがあるからです。巨大資本の参入は市場を活性化させる側面もありますが、それが「独占」への入り口にならないか、2020年にかけての調査の進展を注視する必要があります。
コメント