私たちの日常に欠かせない鉄道インフラを支える駅員や乗務員の皆様が、いま深刻な危機に直面しています。国土交通省が2019年12月28日までに発表した最新の調査結果によると、2018年度に全国の鉄道施設内で発生した職員への暴力行為は合計で670件に達しました。前年度と比較すると9件の減少を見せており、統計上は4年連続で減少傾向にあるものの、現場の安全が完全に確保されたとは言い難い状況が続いています。
今回の調査で特に顕著となったのは、加害者の過半数にあたる375件において、乗客がアルコールを摂取した状態だったという事実です。お酒の席を楽しんだ後の気の緩みが、理不尽な暴力へと繋がってしまうケースが後を絶ちません。SNS上では「仕事中の人に手を上げるなんて信じられない」「お酒のせいにするのは甘えだ」といった、駅員を擁護し加害者を厳しく非難する声が数多く上がっており、世間の関心の高さが伺えます。
都市圏で多発する暴力の背景と理不尽な実態
地域別の発生件数に目を向けると、利用者が集中する都市部での被害が際立っています。東京都の246件を筆頭に、神奈川県の78件、大阪府の53件と続き、人口密集地ほどトラブルのリスクが高まっているようです。全670件のうち、警察への通報や届け出が行われたのは410件に及びました。これは、現場が単なる「口論」では済まされない、刑事事件へと発展するほどの悪質な暴力に晒されている現実を如実に物語っているでしょう。
具体的な被害事例には、耳を疑うような身勝手な動機が並んでいます。例えば、改札口で「寒いから」という理由で駅員の胸ぐらを掴み、防寒具を強奪しようとして突き飛ばしたケースがありました。また、ICカードが自動改札機で正常に反応しなかったことに対して、逆上した利用者が駅員の頬を殴打するという信じがたい事件も報告されています。これらは正当なサービスへの不満ではなく、単なる「八つ当たり」であり、決して許されるものではありません。
私は、こうした暴力行為を「お客様だから」という理由で見過ごすべきではないと考えます。鉄道会社は「カスタマーハラスメント(顧客による嫌がらせ)」から従業員を守るため、より毅然とした態度で法的措置を講じるべきではないでしょうか。防犯カメラの増設や警備員の配置、さらには暴力行為に対する罰則の周知を徹底することで、駅員が安心して働ける環境を整えることが、結果として乗客全員の安全な移動を守ることにも繋がるはずです。
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