音楽のサブスクリプション、通称「サブスク」と呼ばれる定額制の配信サービスは、私たちの生活にすっかり定着しました。一般消費者の間では外資系サービスの参入によりここ数年で一気に広まった印象がありますが、実は店舗などのビジネス向けの世界では、古くから国内企業が市場を牽引してきた歴史があります。その代表格であるUSENが、今まさに熱い視線を注いでいるのが「オフィス向けの音楽配信」です。このサービスが、現代のビジネスパーソンが抱える課題を解決する鍵として注目を集めています。
現在、多くの企業が従業員の健康を経営的な視点で捉え、戦略的に増進を目指す「健康経営」や、生産性の向上に繋がる「働き方改革」を模索しています。そうした中で、職場の環境を劇的に改善する一手として、USENのオフィス向けサービスが全国で導入を加速させているのです。かつては静かすぎることが当たり前だった日本の執務室に、心地よい音が流れることで、業務効率や心理的な安心感にどのような変化が生まれるのか、その驚きの効果と背景をじっくりと紐解いていきましょう。
オフィスに季節とリズムを!導入企業から絶賛の声が続々
オフィス家具の大手として知られるオカムラの赤坂支店では、このサービスを取り入れることで職場に心地よい変化を生み出しています。こちらのオフィスでは、空間の快適性をコントロールする専任の担当者が、社員の様子を観察しながら1日に数回ほど流すチャンネルを切り替えているそうです。夏祭りやクリスマスといった季節のイベント、あるいは社内セミナーなど、その時々のシチュエーションに最適な楽曲を選択することで、無機質になりがちなオフィスに彩りを添えています。
実際に働くスタッフからは、職場にいながら四季の移り変わりを感じられるという喜びの声や、モチベーションを上げたい時に音楽の流れるエリアへ移動して上手に気分転換ができているという好意的な意見が聞かれました。SNS上でも「静まり返ったオフィスよりも、適度な音が背景にある方が圧倒的に集中できる」「カフェのような雰囲気でリラックスして仕事が進む」といったポジティブな反応が数多く見受けられ、現代のオフィスに求められる快適性の基準が変化している様子が窺えます。
月額5000円から利用できるこの基本プランには、集中力の向上やリフレッシュ、リラックス効果などを狙った111もの多彩なチャンネルが用意されています。2019年には東京芸術大学との共同研究により、退職時の心理に寄り添ってスムーズな退社を促す特別な楽曲も開発されました。仕事の進捗状況に合わせた音楽を流すことで、かつて商業施設で閉店時に流れていた定番曲のように、オフィスにおける終業の合図として機能させるユニークな試みも始まっています。
科学的なアプローチでストレス軽減!広がる音のビジネス最前線
このサービスが誕生した2013年当時は、ストレスチェックの義務化が議論されるなど、企業のメンタルヘルスケアへの意識が高まりつつある時期でした。当初は店舗向けのJ-POPをそのまま流す企業もありましたが、歌詞が気になって業務に集中できないという課題が生じたため、オフィス専用のインストゥルメンタルや環境音に特化した楽曲が開発されたという経緯があります。こうした細やかな配慮が、現在の高い顧客満足度に繋がっているといえます。
効果はデータにも表れており、ある大手飲料メーカーの社内調査では8割以上の社員が好意的な評価を下しました。さらに、別のハウスメーカーでは終礼時に誰もが知る映画のテーマ曲を流したところ、残業時間が24%も削減されたという劇的な実績も報告されています。専門的な研究機関による検証でも、これらのBGMを聴くことで、身体をリラックス状態へと導く「副交感神経」が刺激され、体温が上昇することが実証されており、感覚だけでなく科学的にも癒やしの効果が証明されているのが特徴です。
競合他社もこの市場に参入しており、大手音楽レーベルがオフィス緑化企業と手を組み、美しい植物とともに高品質な川のせせらぎやそよ風の音を届けるプランを展開するなど、職場の「五感」に訴えかけるビジネスが活発化しています。2019年12月時点でUSENの導入実績は約6万9000社に達しており、2020年にはさらに5000社の新規獲得を目指しています。今後は執務室だけでなく、エレベーターや化粧室といった場所への拡大も視野に入れているとのことです。
筆者の視点として、従来の「静かに黙々と働く」という美徳から、「快適な空間で創造性を発揮する」という方向へ日本の働き方がシフトしているのは非常に素晴らしい潮流だと感じます。音という目に見えない要素が、社員のメンタルを守り、企業の生産性を高める強力なインフラになる時代が到来しました。ただ音楽を流すだけでなく、科学的な根拠に基づいた空間デザインを行う企業が増えることで、これからのオフィス環境はより人間らしく、洗練された場所へと進化していくに違いありません。
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