最先端テクノロジーの波が、私たちの生活を劇的に変えようとしています。日本を代表するIT企業のNECが、いよいよ量子コンピューター事業への本格参入を表明しました。アメリカのグーグルやIBMといった巨大IT企業が先行するこの分野で、同社は独自の存在感を放とうとしています。代表取締役社長の新野隆氏は、単なる開発競争に没頭するのではなく、技術が人間社会にもたらす具体的な価値をいち早く見つけ出すことこそが競争の本質であると熱く語ります。
ここで注目されるのが「アニーリング方式」と呼ばれる次世代の計算技術です。これは、無数にある組み合わせの中から、最も効率的な「最適解」を導き出すことに特化した方式を指します。渋滞のないルート探索や、新薬の開発などに革命を起こす可能性を秘めているのです。NECは産業技術総合研究所とタッグを組み、2023年の実用化を目指して開発を加速させています。すでにスーパーコンピューターを用いた疑似環境を活用し、顧客との共同研究を進めています。
東京五輪を彩る「顔パス」の衝撃!生体認証の本格活用へ
2020年といえば、いよいよ東京オリンピック・パラリンピックが開催される記念すべき年です。新野社長はこの記念すべき年を「生体認証が様々なシーンで本格活用される元年」と位置づけています。大会期間中は、会場に集まる報道陣の本人確認作業に同社の世界最高水準の顔認証システムが導入される予定です。さらに、2020年春からは成田国際空港において、顔認証を応用した新しい搭乗手続きシステムが稼働し、チケットレスの快適な旅が実現します。
人間の身体の一部を使って個人を識別する生体認証は、セキュリティを高めるだけでなく、個人のニーズに合わせた最高のサービスを可能にします。ネット上のSNSでも「空港の顔パスは本当に便利そう」「日本の技術が世界に広がるのが楽しみ」といった期待の声が続々と上がっています。同社の顔認証技術は、アメリカの政府機関が実施した極めて厳格な精度テストで、並み居る海外のライバル企業を抑えて世界第1位に輝いた実績を持っており、信頼性は抜群です。
グローバル企業への脱皮と、立ちはだかる社内風土の壁
2020年は、NECにとって中期経営計画の最終年度という極めて重要な節目でもあります。目標として掲げる営業利益率5%の達成は、世界舞台で戦うための最低限のスタートラインに過ぎないと新野社長は断言します。しかし、優れた技術をビジネスの利益に直結させることがこれまでの同社の大きな課題でした。優れたエンジンを持っていても、それを走らせる車とドライバーが揃わなければ意味がありません。組織全体のデジタル変革が急務となっています。
未来の価値を見通せる優秀な人材の育成に加え、2018年から新野社長自身が主導してきた社内風土の改革もまだ道半ばです。社長自身が「まだ2合目か3合目」と語るように、古い企業体質を打破し、自ら新しい挑戦に飛び込める社員をどこまで増やせるかが命運を握るでしょう。単に新しいシステムを導入するだけでなく、働く人々の意識そのものを変革していく粘り強い姿勢こそが、NECが再び世界の頂点へと返り咲くための最大の鍵になるのではないでしょうか。
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