テレビの常識が、大きな転換期を迎えようとしています。NHKの経営委員会は2020年01月15日に、テレビ番組をインターネットで同時に流す「ネット同時配信」の具体的な実施計画を決定しました。森下俊三委員長は、2020年03月01日から1日17時間の試験的な提供を行い、2020年04月01日からは1日18時間の本サービスへと移行する方針を明かしています。ネット同時配信とは、テレビで今放送されている番組を、スマホやPCでもリアルタイムに視聴できる画期的なシステムのことです。
今回のサービス開始により、私たちのライフスタイルはさらに便利になるでしょう。具体的には、2020年04月01日より毎日午前6時から翌午前0時までの18時間にわたって番組が届けられます。森下委員長が「朝の通勤時間帯に活用できる」と語る通り、電車内でのニュースチェックなどに大活躍しそうです。SNS上でも「移動中に大河ドラマやニュースが見られるのは嬉しい」「いよいよテレビの枠を超える時代が来た」といった歓喜の声が上がっており、多くのユーザーがこの新時代に期待を寄せています。
配信時間が24時間から短縮された背景と今後の課題
実は、当初計画されていた24時間の連続配信は見送られる形となりました。その背景には、総務省からの厳しい指摘が存在します。2019年11月に総務省は、NHKが提示した運営費が受信料収入の約3.8%にまで膨らんでいる点を問題視しました。これを受けてNHKは2019年12月に、東京オリンピック関連を除くネット業務費用を、従来の目安である2.5%以内に収めるよう計画を修正したのです。このコスト削減の煽りを受ける形で、配信時間が縮小される結果となりました。
また、同日には2020年度の予算も公表されています。一般企業の売上高に相当する事業収入は、2019年度の予算に比べて0.6%減の7204億円となる見通しです。この減少は、2019年10月と2020年10月に2段階で実施される受信料値下げが主な原因とされています。これにより、受信料収入自体も0.8%減の6974億円へと落ち込む見込みですが、一方で受信料の支払率は1ポイント上昇し、84%に達する予測が立てられました。
メディアの編集者としては、このネット同時配信の制限付きスタートにはやや複雑な思いを抱きます。せっかくのデジタル化でありながら、予算の都合で24時間配信ができないのは、利便性の面で一歩後退した印象を拭えません。民間放送とのバランスや受信料の公平性を保つことは不可欠ですが、視聴者のニーズに応えるためには、将来的な完全24時間配信への拡大が望まれます。利便性と健全な経営の双方をいかに両立させるか、NHKの今後の改革に注目したいところです。
コメント