福井市内にある温かな一軒家から、今日も子どもたちの無邪気な笑い声が響いています。ここは、日常生活でたんの吸引や人工呼吸器といった専門的なサポートを必要とする「医療的ケア児」を日中預かる、福井県内で唯一の頼れる施設「オレンジキッズケアラボ」です。
医療的ケア児とは、医学の進歩によって多くの小さな命が救われるようになった一方で、退院後も自宅での継続的な医療処置が欠かせない子どもたちのことです。厚生労働省のデータによると、その数は全国で約1万8000人にのぼり、この10年間でなんと2倍にまで急増しているのが現状です。
2015年にこの活動が始まったきっかけは、地域医療を支える医療法人の紅谷浩之理事長が、ある高校3年生の男子生徒とその母親に出会ったことでした。特別支援学校の卒業を控えた母親からの「県内に預けられる場所がなく、このままでは家族が24時間体制で介護に追われてしまう」という切実な叫びが、施設誕生の原動力となったのです。
ネット上では「こうした施設が地域に一つあるだけで、家族の救われる度合いが全く違う」「全国にもっと増えてほしい」と、施設を応援する多くの共感の声が広がっています。24時間の看護が必要な我が子を抱える家庭にとって、日中に安心して子どもを託せる居場所があることは、まさに心のオアシスと言えるでしょう。
代表を務める戸泉めぐみさんは、各地での支援はまだまだ不十分だと感じています。しかし、ラボが柔軟な預かり対応を実践していることで、通所する子どもの母親の約7割が仕事を再開できており、母親が自分の時間を持つための大切な基盤となっています。子育てと仕事の両立を阻む壁を、医療と福祉の連携によって見事に打ち破っているのです。
前例にとらわれない挑戦!旅行や通常学級への登校を全力サポート
「親子の強い意志があるならば、どんなに困難に思えることでも形にしたい」と戸泉代表は力強く語ります。その情熱が生んだ素晴らしい取り組みの一つが、夏の旅行支援です。毎年夏季になると、長野県軽井沢町に「軽井沢キッズケアラボ」という1ヶ月限定の出張所を開設し、旅先での医療ケアの拠点を提供しています。
「一度でも遠出ができたことで、家族全員の大きな自信に繋がった」と話す親御さんも多く、これを機に他の地域へ旅行に出かける家庭も増えています。医療が必要だからといって思い出作りを諦めない姿勢は、SNSでも「涙が出るほど素敵な取り組み」「子どもの世界が広がる」と大絶賛されています。
さらに、4年ほど前からは「スクールキッズケアラボ」と称し、地域の通常学級へ通いたいという子どもたちの願いを叶える活動もスタートしました。戸泉代表自らが自治体や学校との交渉の席に立ち、前例のない壁を一つずつ乗り越えて、子どもたちが望む教育環境を整えるために奔走しています。
現在は送迎ルートの限界により、県内でもまだ通えない地域があることが今後の大きな課題となっています。私は、こうした素晴らしい草の根の活動を一部の熱意だけに頼るのではなく、行政や地域社会全体が制度として財政的・人道的にバックアップしていく仕組みづくりが急務であると考えています。
「一度経験すれば、次からは当たり前にできるようになる」という言葉通り、彼らの地道な一歩は着実に社会の常識を変えつつあります。どんな子どもであっても、自分らしく生きる権利を守るためのオレンジキッズケアラボの挑戦は、これからも地域に寄り添いながら続いていくことでしょう。
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