冬の澄んだ空気が張り詰める兵庫県西宮市の甲子園球場にて、2019年12月15日、学生アメリカンフットボール界の頂点を決める「第74回甲子園ボウル」がいよいよ開催されます。今大会の主役は、2年連続30回目の優勝という金字塔を狙う関西学院大学と、悲願の初優勝に燃える早稲田大学です。両校が決勝の舞台で激突するのは2年連続3度目となりますが、過去2回はいずれも関学大が勝利を収めており、早大にとってはまさに「三度目の正直」を期する雪辱の一戦となるでしょう。
早稲田大学の攻撃の要となるのは、巧みなパスワークを誇るクオーターバック(QB)の柴崎選手です。司令塔として攻撃を組み立てる彼のパスを軸に、早大は今季のリーグ戦で1試合平均31.3点という驚異的な得点力を示しました。これは関学大の23.7点を大きく上回る数字であり、爆発力は折り紙付きです。特にエースワイドレシーバー(WR)のブレナン選手は、競り合いの中でボールをもぎ取る「球際の強さ」が際立っており、劣勢からでも試合をひっくり返す粘り強さがチームの武器となっています。
早大を率いる高岡監督は、昨年の敗北から「フットボール文化の差」を痛感し、その壁を打破するために徹底したスピード強化を図ってきました。また、主将のラインバッカー(LB)池田選手は、高校時代から数えて4度も関学大の前に涙を呑んできた経緯があり、並々ならぬ闘志を燃やしています。SNS上でも「今年こそワセダが歴史を変えるか」「柴崎とブレナンのホットラインが火を噴けば面白い」といった期待の声が溢れており、下馬評を覆す展開を待ち望むファンは多いようです。
王者・関学大が誇る「負けない形」と鳥内監督のラストダンス
迎え撃つ王者・関西学院大学は、リーグ最終節で一度は敗れた立命館大学に対し、代表決定戦で見事な修正能力を見せて快勝し、この聖地へと乗り込んできました。関学大の強みは、1試合平均失点をわずか7.6点に抑え込んできた鉄壁の守備陣にあります。守備の柱であるディフェンスライン(DL)の寺岡主将は、早大の攻撃陣を「個の能力が高い」と冷静に分析しており、守備が耐えている間に、多才なランニングバック(RB)三宅選手のランや、QB奥野選手の鋭いパスでリズムを掴む構えです。
今大会において、ファンの関心が最も集まっているトピックの一つが、関学大を長年率いてきた名将・鳥内秀晃監督の勇退です。今シーズン限りで身を引くことを表明している指揮官にとって、これが12度目の日本一をかけた最後の大舞台となります。監督自身は「早大はまだ手の内を見せていない」と一切の妥協なく表情を引き締めていますが、その背中を追う選手たちのモチベーションは極限まで高まっているに違いありません。稀代の知将がどのようなタクトを振るうのか、目が離せません。
私個人の見解としては、この試合は「早大のスピードが、関学大の組織力をどこまで翻弄できるか」が鍵を握ると見ています。アメフトは「準備のスポーツ」と言われますが、関学大の修正力は学生レベルを超越しています。しかし、早大の池田主将が抱くような「執念」が、時に戦術を超えた奇跡を起こすのがスポーツの醍醐味です。鳥内監督の集大成を勝利で飾らせたい関学大と、新たな歴史の扉を叩く早大。2019年12月15日、甲子園の芝の上で刻まれる伝説を、私たちは目撃することになります。
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