アメリカの政治中枢を揺るがす巨大な疑惑に、新たな決定打が加わろうとしています。トランプ米大統領が自身の政治的利益のためにウクライナ政府へ圧力をかけたとされる「ウクライナ疑惑」を巡り、驚くべき新事実が浮上しました。国家安全保障の要であったジョン・ボルトン前大統領補佐官が、近く出版する予定の著書の中で、トランプ氏から直接「バイデン氏の調査を行わなければ軍事支援を凍結する」という旨の発言があったと記していることが、2020年1月26日に明らかになったのです。
この衝撃的な事実を報じたのは、米紙ニューヨーク・タイムズの電子版です。記事によると、2019年8月にボルトン氏がトランプ氏と面会してウクライナへの支援について協議した際、この驚くべき条件を直接告げられたといいます。これまでは、周囲の高官たちがウクライナ側に「見返り」を求めていた構図は判明していたものの、大統領本人がどこまで直接関与していたのかという核心部分は曖昧なままでした。今回の暴露によって、疑惑の主犯が誰であるかが明確に浮かび上がってきたと言えるでしょう。
ここで改めて「ウクライナ疑惑」と「弾劾(だんがい)裁判」について解説します。弾劾とは、大統領などの高官が職権乱用などの不正を働いた際、議会がその責任を追及して罷免するための裁判手続きのことです。野党の民主党は、トランプ氏が2020年11月の大統領選挙で強力なライバルとなるバイデン前副大統領をおとしめるため、ウクライナへの軍事支援という国家の外交カードを悪用したと激しく非難しています。まさに権力の乱用であり、今回のボルトン氏の証言は民主党にとって強力な武器となります。
当然ながら、ホワイトハウス側は猛反発を崩していません。弁護団は2020年1月25日の冒頭陳述において、ウクライナへの軍事支援とバイデン氏の調査に「見返りの関係を示す根拠はどこにもない」と無罪を主張したばかりでした。しかし、身内であったはずのボルトン氏の草稿が公になったことで、その弁明は一気に苦しいものへと追い込まれています。インターネット上やSNSでも「ついに決定的な証拠が出てきた」「ホワイトハウスの嘘が暴かれる瞬間だ」といった驚きと興奮の声があふれかえっています。
この展開を受け、民主党の上院トップであるシューマー院内総務は2020年1月26日、自身のツイッターで「ボルトン氏が疑惑の証拠を握っている」と断言しました。そして、弾劾裁判に同氏を証人として招致することが不可欠だと強く訴えています。ただし、証人を呼ぶためには上院の過半数である51票以上の賛成が必要であり、多数派を握る与党・共和党から少なくとも4人の造反者を出さなければなりません。まさに歴史の命運は、数人の共和党議員の決断に委ねられているのです。
私は、今回の事態は大統領の職責の本質を問う重大な局面であると考えます。一国のリーダーが国家の安全保障や外交を、自らの選挙戦を有利に進めるための道具として利用したとすれば、それは民主主義の根幹を揺るがす背信行為に他なりません。ボルトン氏は現在、著書の草稿をホワイトハウスに提出して機密情報の精査を受けている段階であり、政権側の圧力によってウクライナ疑惑に関する記述が削除される懸念も残されています。だからこそ、司法の場での真実の究明が待たれます。
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