世界の街づくりを支える建設機械の市場で、いま大きな変革の波が押し寄せています。日立建機は2025年度までに、小型の油圧ショベルである「ミニショベル」の世界市場占有率を、現在の10%弱から15%へと引き上げる意欲的な目標を掲げました。
中大型の機械需要が足元で一服する中、都市化の進展を背景に需要が爆発している小型機械を次の成長の柱に見据えています。ライバルがひしめくこの領域で、同社は独自の販売網拡大と最先端のデジタル技術を武器に、世界シェアの勢力図を塗り替えようとしています。
SNS上でもこの挑戦は注目を集めており、「都市部での工事が増える中でミニショベルの需要は確実に高まる」「日立の遠隔技術が小型機に乗るのは胸熱」といった期待の声が寄せられています。
欧州と東南アジアで展開する強気のエリア戦略
今回の戦略において、日立建機はドイツやインドネシアなどの有望な市場へ集中的に投資する方針です。例えばドイツでは、ミニショベルに特化した代理店を今後3年以内に従来の1.7倍となる50店舗へと急拡大させます。
1980年代後半に欧州へ参入した同社は、いわば後発組ですが、専門の営業人員を育成することで、2018年度にはシェア10%にまで急成長を遂げました。さらに現地では、環境意識の高まりに応じたバッテリー駆動式の電動ミニショベルの投入も検討されています。
欧州の競合他社が電動化を急ぐ中、この環境対応への迅速なアプローチは、今後の市場獲得において極めて重要な鍵を握るでしょう。
一方のアジア圏でも、現地に最適化した営業戦略が大きな成果を結んでいます。インドネシアでは競合分析を徹底したことで、2012年度に10%だったシェアを2018年度には30%へと跳ね上げました。
この成功体験をタイやマレーシアといった周辺国にも水平展開し、新興国のインフラ需要を確実に取り込む構えです。
遠隔監視システム「コンサイト」がもたらすDX革命
ハードウェアの強化に留まらず、日立建機はデジタル化によるサービスの差別化、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)も加速させます。2020年4月からは、中大型建機で実績のある遠隔監視サービス「コンサイト」をミニショベルにも標準搭載します。
遠隔監視システムとは、機械にセンサーや通信端末を取り付け、稼働状況や位置情報を離れた場所からリアルタイムで把握・管理する仕組みのことです。これにより、レンタル業者などの顧客は移動の多い小型機の居場所をすぐに特定できます。
さらに、稼働時間に応じた最適なタイミングでのメンテナンスが可能になるため、現場での予期せぬ故障を防ぎ、業務の効率化に直結するのです。まずは日本国内で顧客の反応を見極めた後、世界へと発信される予定となっています。
高収益を叩き出すバリューチェーン事業の魅力
日立建機がここまでミニショベルに注力する背景には、新車販売だけに頼らない「バリューチェーン事業」の高い収益性があります。これは、機械のレンタルや中古車販売、部品補修など、製品が作られてから使われなくなるまでの全工程で利益を生み出すビジネスモデルを指します。
ミニショベルは中大型機に比べて1業者あたりのレンタル期間が短く、回転率が高いため、結果として高い利益率を維持しやすい特徴があります。3トンクラスの小型機の場合、生涯で生み出す収益規模は新車1台を売るだけの約5倍にも達すると言われています。
2018年度に全体の44%を占めていたこの事業の売上高比率を、同社は早期に5割へと引き上げる計画です。新車を売るだけでなく、その後のサポートも含めて顧客を囲い込むこの戦略は、経営の安定化において非常に理にかなっています。
変化の激しい建機業界において、日立建機がハードとデジタルの両輪で世界に挑む姿は、日本の製造業が目指すべき新しいビジネスの形を示していると言えるでしょう。
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