株式投資の世界に足を踏み入れると、必ず耳にする魔法の言葉があります。それが「PER(株価収益率)」です。これは、現在の株価がその企業の利益に対して「お買い得なのか、それとも高すぎるのか」を測るための、いわば投資の物差しのような存在と言えるでしょう。
PERは英語の「Price Earnings Ratio」の頭文字を取ったもので、日本語では「株価収益率」と翻訳されます。具体的には、その企業の「1株あたりの純利益」に対して、株価が何倍まで買われているかを数値化した指標なのです。
例えば、1株利益が100円の企業の株価が1500円だった場合、1500を100で割った「15倍」がその企業のPERとなります。この数字は、現在の利益水準が続くと仮定した場合、投資資金を回収するのに何年かかるかという目安としても捉えることができます。
SNS上では「PERが低いから買いだ!」といった声も散見されますが、単純に数字が低ければ良いというわけではありません。株価は常に将来の成長を織り込んで動くため、実務では2019年12月29日現在も、未来の「予想利益」を用いた計算が一般的です。
成長への期待値が数字に現れる!PERの正しい読み解き方
一般的に、PERの数値が大きければ大きいほど、その企業に対する将来の利益拡大への期待感が市場で高まっていることを示唆します。特に急成長を遂げるIT企業や新興企業では、この期待値が先行してPERが非常に高くなる傾向にあるのです。
しかし、割安か割高かを判断する際には、単体の数字だけを見るのではなく、ライバル企業や過去の自社データと比較する「相対的な視点」が欠かせません。同じ業界内での水準を知ることで、初めてその銘柄の真の価値が見えてくるでしょう。
具体的な実例として2019年12月27日時点の株価を見てみましょう。トヨタ自動車のPERは10.1倍、ホンダは9.5倍と、日本の自動車大手2社はほぼ同水準で推移しています。これは、市場が両社に対して似たような成長シナリオを描いている証拠です。
かつて世界的に自動車需要が爆発していた2007年までの好況期、トヨタのPERは10倍台半ばを記録していました。その頃と比較すると、現在の10.1倍という数字は、かつての勢いに比べれば市場の評価が落ち着いている状態だと言えるはずです。
また、日本株全体のPERは約14倍台であり、米国の18倍台と比較すると一見「日本は割安」に見えます。しかし、米国には圧倒的な成長力を誇る巨大IT企業が多いため、この差は単純な割安感ではなく「成長性の差」として受け止めるのが賢明です。
私自身の見解としては、PERはあくまで「健康診断の結果」のようなものだと考えています。数字が低いからといって飛びつくのではなく、なぜ市場がその評価を下しているのか、その背景にある企業の底力を探る姿勢こそが、成功への近道ではないでしょうか。
コメント