2019年6月13日の東京株式市場で、人工知能(AI)の開発を手掛けるHEROZの株価が急騰し、大きな注目を集めました。前日の取引終了後に発表された2020年4月期の単独税引き利益が過去最高益を見込むという好材料が市場で好感されたためです。株価は一時、前日比で3,900円、率にして25パーセント高となる19,590円まで上昇し、年初来の高値を記録する展開となりました。
この急騰の背景には、HEROZが提供するAI活用サービスが本格的な普及期を迎えたのではないかという市場の強い期待感があります。特に個人投資家からの活発な買い注文が相次ぎ、同社株は13日の東証マザーズ市場における値上がり率ランキングで堂々の1位を獲得しています。売買代金も前日の約8倍にあたる約193億円にまで膨れ上がり、その注目度の高さを物語っています。終値は19,480円で引けました。
HEROZが示した今期の業績見通しは、売上高が前期比18パーセント増の16億円、税引き利益も同じく18パーセント増の3億5,000万円という内容です。この好調な業績を支えているのが、同社が強みとするAI技術を基盤とした法人開拓の進展です。松井証券の窪田朋一郎氏も「法人開拓で事業の裾野が広がりつつある」と評価しており、特定の市場だけでなく、多岐にわたる産業でのAI導入が業績を押し上げている要因だと推察できます。
具体的な事業領域としては、まず建設分野におけるAI活用が挙げられます。現在、業界全体で人手不足が深刻化しているため、AIを利用して設計業務を効率化する動きが急速に強まっています。また、金融分野でも、株価の予測や個別の顧客に合わせた株式ポートフォリオを提案するサービスなどでAIの導入が進んでいます。さらに、もともと同社の技術力が高く評価されてきたゲーム会社向けサービスも引き続き順調に伸びている状況です。
HEROZは2018年4月に東証マザーズ市場へ上場して以来、AIなどの高い成長が見込まれる分野に関連するテーマ株として、個人投資家からの人気が非常に高い銘柄です。そのため、ポジティブな材料が出た際には、株価が急激に反応しやすいという特性を持っていると言えるでしょう。今回の最高益見込みの発表も、その特性が顕著に表れた事例だと考えられます。
📈過熱感と今後の株価動向:市場関係者の見解
しかしながら、株価の急騰に伴う過熱感を指摘する市場関係者も少なくありません。たとえば、現在の予想PER(株価収益率)は400倍弱という非常に高い水準に達しています。PERとは、企業の株価が1株当たりの純利益の何倍かを示す指標で、一般的にこの数値が高いほど、市場がその企業に対して大きな成長期待を抱いていることを示しますが、同時に割高感があるとも判断されがちです。専門用語を解説すると、PERは「Price Earnings Ratio」の略称で、株価を1株あたりの当期純利益で割って算出され、投資の判断基準の一つとされています。
この高いPERの水準から、市場では「割高ではないか」という懸念の声も聞こえてくる状況です。国内証券の関係者からは、「節目の2万円台を超えると、過去に高値で購入して、株価が下落した後に買い戻しを待っている個人投資家による戻り待ち売りが増えてくる可能性がある」との指摘も出ています。このことから、今後は株価の上昇がやや重くなる可能性も視野に入れておくべきでしょう。
私自身の見解としては、HEROZの持つ高いAI技術力と、それを多分野の法人顧客へと展開していく戦略は、今後の日本の産業界におけるAI導入の流れを考えると非常に将来性があるものと評価できます。建設や金融といった基幹産業でのAI活用は、もはや一時的なブームではなく、生産性向上に不可欠な構造的な変化です。HEROZはこの変化の波に乗り、着実に成長を遂げていると言えるでしょう。ただし、現在の株価は短期間で急騰しており、過熱感があることは否めません。長期的な成長を見据えつつも、短期的な価格変動には注意を払う「メリハリのある投資戦略」が求められる局面であると考えられます。
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