【小野薬品工業】株価軟調を打破!自社株買い300億円で株主還元を加速するその戦略とは?

2019年5月30日、小野薬品工業が発表した自社株買いのニュースは、市場に大きなインパクトを与えました。その規模は、なんと300億円を上限とする大規模なものです。取得した株式は同年10月31日にすべて消却する予定で、同社が自社株の取得と消却を実施するのは実に2年ぶりのこととなります。

今回の思い切った株主還元強化策の背景には、同社の主力製品であるがん免疫薬「オプジーボ」に関連する特許収入が堅調に増加しているにもかかわらず、株価が2018年秋以降、軟調な動きを見せているという実情があります。企業が自社の株式を市場から買い戻す行為、すなわち自社株買い(自己株式の取得とも呼ばれます)は、市場に出回る株式の総数を減らすことになります。これにより、一株当たりの利益、すなわち**EPS(Earnings Per Share、一株当たり利益)**を向上させる効果が見込まれ、株主への還元、ひいては株価の押し上げに繋がるのです。

私見を述べさせていただくと、小野薬品工業がこのタイミングで大規模な自社株買いを決定したのは、現在の株価は企業の真の価値、特に将来的なオプジーボ関連の収益力に見合っていないという、経営陣の強いメッセージが込められていると拝察いたします。最大1,500万株、発行済み株式総数(自社株を除く)の2.92%にも相当する規模での取得は、その本気度を示すものでしょう。取得期間は同年5月31日から同年9月30日までと設定されています。

製薬業界、特に新薬開発を主軸とする企業は、その業績がパイプライン(開発中の新薬候補)の成功や失敗に大きく左右されるため、業績の浮き沈みが激しい傾向にあります。そのため、小野薬品工業のように配当性向(利益に対する配当金の比率)などの株主還元目標を明確に定めていないケースも散見されます。しかしながら、今回の自社株買いは、たとえ目標を定めていなくても、株主を重視する姿勢を明確に打ち出したものとして、市場からは好意的に受け止められているはずです。

なお、2020年3月期の配当については、前期と同額の年間45円を維持する方針が示されています。この安定した配当と、今回の機動的な自社株買いの組み合わせは、株主にとって非常に魅力的なパッケージと言えるでしょう。オプジーボという画期的な新薬を世に送り出し、がん治療に革命をもたらした同社の株主還元への積極的な姿勢は、今後のバイオテクノロジーや製薬株の動向を占う上でも、注目に値すると言えるのではないでしょうか。

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